【関連記事】ストップ高銘柄の「買いどき」と「売りどき」【投資のプロが解説】
実は「よい会社ではない」という可能性
有名であったり、メディアで話題になっていたりする、一般的に「よい会社」というイメージを持たれている会社でも、実は財務諸表を見るとそうではない、というケースは珍しくありません。
実際に財務諸表を見てみると、
- 売上の伸びが注目されているけど利益はさほどでもない
- 知名度を上げているだけでまだ黒字化していない
- 会計上の純利益は黒字だが営業キャッシュフローがなぜかマイナス(会計上の利益を盛っている可能性がある)
- どんどん資産規模が大きくなっているが負債の割合もどんどん増えている
- 年々純利益が減っている
- 社長が人気者で株価も高くなっているが業績はそれほどでもない
というようなケースがあります。
このように、「よい会社」という印象と、実際によい会社かどうかには、ギャップがある場合があります。
数字では判断できない企業価値というのはもちろんあるでしょうが、最低でも数字は確認しておく必要があります。単なる印象や他者の評価によって「これはよい会社だ! 株を買おう」と考えるのは危険です。
未来は不確実である
現時点で、確かに「よい会社」だと判断できる会社でも、まだ考えなければならないことがあります。それは、未来のことです。
いくら成長著しい会社であっても、その成長がそのうち鈍ってきたり、止まってしまう可能性がもちろんあります。
毎年安定した利益を上げ、安定した配当を出している会社も、それが続くかどうかはわかりません。
有名大企業でも、倒産してしまうことがあります。決算書の見栄えをよくして危険な将来を隠していて、急にそれが表に出てしまう会社だってあります。
また、個別企業の業績は、政治やマクロ経済の影響と完全に切り離せるものでもありません。外的要因が、その企業の業績に大きく影響を及ぼしてしまうこともあります。
つまり、未来はあくまで不確実なのです。
ですから、いくら「よい会社」だからといって、その「よい」状態がずっと続くとは安易に考えない方がよいでしょう。そして、悪いシナリオも考えながら株を買い、どうなったら株を売るかも考えておくことで、そんな落とし穴を避けることができるのではないでしょうか。