今年、34歳を迎える1987年生まれの会社員。さとり世代(1987年~2004年生まれ)と呼ばれる最初の人たちです。どのような時代を生き、どれほどの収入を得て、どのような未来が待っているのでしょうか。見ていきましょう。
さとり世代1期生…1987年生まれ「大卒34歳会社員」が将来手にする「推定年収」 (※写真はイメージです/PIXTA)

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さとり世代…大卒1年目は波乱の幕開けだった

――堅実で高望みをせず、欲がない

 

そういわれてきた「さとり世代」。文部科学省の学習指導要領等の変更で、たとえば「円周率は約3」と教えられたり、台形の面積の公式は教わらなかったりした、いわゆる「ゆとり世代」の後期にあたる世代です。2013年に新語・流行語大賞にノミネートされた言葉で、その第一期にあたるのが、2021年に34歳となる1987年生まれの人たちです。

 

1987年は、中曽根康弘首相から竹下登首相にバトンタッチした年。1ドル150円を突破、円高が急速に進みました。2月にはNTT株が東証1部に上場し、初値は160万円をつけ、その後、300万円まで急騰しました。4月には国鉄が民営化、JR11社が発足します。そして10月19日、ニューヨーク株式市場で大暴落が起こり、ダウ平均が史上最大となる22.6%も下落。これがいわゆる「ブラックマンデー」です。翌20日の日経平均は前日比3836円48銭安を記録。暴落翌日のニューヨーク株式相場は急反発し、日経平均も21日に大きく反発。歴代2位の上げ幅を記録しました。

 

この年、NHK大河ドラマ『独眼竜政宗』が大ヒット。最終回は47.8%を記録しました。また明石家さんま主演の『男女7人秋物語』も前年にヒットした『男女7人夏物語』に続き話題となり、最終回は36.6%を記録しています。また音楽業界では、マドンナ、マイケル・ジャクソンと大物スターの来日が続き、大きな話題に。この年のレコード大賞では、近藤真彦『愚か者』が受賞しました。

 

バブル景気の前期、上り調子にあった頃に生まれた、さとり世代第1期の人たち。現役で大学に入学し、順調に卒業した場合、社会に出たのは2010年。リーマンショックの影響で、大卒内定率(同年3月時点)は91.8%。前年から4ポイント近くも急落しました。

 

就職難といえば、いわゆる「氷河期世代」がクローズアップされますが、さとり世代の1期生も地味に就職が大変だった人たちです。さらに翌年には東日本大震災が発生。前途多難な社会人生活のスタートとなりました。