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例年の4倍程度…12月に流行している「夏かぜ」の正体
ヘルパンギーナとは、「コクサッキーウイルス」が引き起こす感染症で、主に夏場に流行する、いわゆる「夏かぜ」と呼ばれる病気のひとつですが、2021年11月末時点で、去年の同時期と比べて約4倍程度と、例年にない勢いで患者数が報告されています。
ヘルパンギーナの症状
ヘルパンギーナは多くの場合、突然の高熱で発症します。ついさっきまで元気だったのに、気づいたら40℃にまで上がっているということも。
また、病気の性質上、熱性けいれんを合併することもあります。そして、同時期か、ややそれに遅れて喉が痛くなり、喉を診ると赤い真ん中に白っぽい水ぶくれを伴った発疹がみられます。
発疹が出ているうちは、普通の風邪よりも喉の痛みが強いことが多く、場合によっては食事を摂るのも嫌がるようになります。よだれを飲みこむときにも痛みが出るので、飲みこまずに口から出すようになり、見かけ上よだれが増えることもあります。
多くの場合は、熱は2〜3日程度で自然に下がり、喉の痛みも数日内に徐々におさまっていきます。通常、咳や鼻水はあっても軽度です。
ヘルパンギーナと似た病気
ヘルパンギーナと同様に夏かぜに分類され、喉に同様の水疱ができる病気に、「手足口病」があります。
手足口病はコクサッキーウイルスあるいはエンテロウイルスというウイルスが引き起こす感染症ですが、名前の通り口の中以外に、手と足にも水疱が出るのが特徴です。
口周りや陰部などの発疹が目立つこともありますが、その場合も手足口病と診断される場合があります。
また、発熱初期には喉だけの症状でヘルパンギーナと診断されても、あとから遅れて発疹が出るために、手足口病の診断に変わることもよくあります。
2021年現在において、季節外れにも関わらずヘルパンギーナと同様に手足口病も例年よりも多く報告されています。
ほかに、溶連菌による咽頭炎も、ヘルパンギーナとの鑑別が必要になります。
ヘルパンギーナは、発熱初期にはまだ喉が赤いだけで水疱がしっかり出来上がっていないことも多く、溶連菌との見分けが難しい時期があります。
溶連菌性咽頭炎は抗菌薬で治療しますが、ヘルパンギーナには抗菌薬は効かないため、しっかりと見極める必要があります。