(※写真はイメージです/PIXTA)

「コクサッキーウイルス」は、「ヘルパンギーナ」や「手足口病」などの感染症を発生させる、特効薬の存在しないウイルスです。ヘルパンギーナや手足口病は主に夏場に流行する、いわゆる「夏かぜ」と呼ばれる病気のひとつですが、2021年11月末時点で、去年の同時期と比べて約4倍程度の患者数が報告されていると、小児科医の米田真紀子氏はいいます。コロナ禍に紛れて流行している「コクサッキーウイルス」について、流行の原因と対処法をみていきます。

特効薬がないコクサッキーウイルス…対処法は

ヘルパンギーナの原因となるコクサッキーウイルスには、特効薬はありません。なので、高熱と痛み対する対応だけが唯一の治療となります。

 

乳幼児の場合は、喉が痛くてまったく口から食べものや飲みものを摂取しなくなってしまうと、高熱と相まってすぐに脱水やカロリー不足になるので、適切に熱を下げたり、喉の痛みをやわらげたりする目的で、解熱鎮痛薬の内服や坐薬を使用します。

 

例えば、おなかが空いているのに喉が痛くて食べられない場合には、食事の30分から1時間前に、解熱鎮痛薬の坐薬(内服もできるなら可)を使用します。

 

解熱鎮痛薬は、例え熱がなくても鎮痛目的だけで使用することができます。投与間隔を考えると1日3〜4回程度しか使えないので、毎食前に子どもの機嫌や訴えを聞いて、投与するかどうか考えるとよいでしょう。

 

また、口内炎が出来てしまった経験がある人はよく分かると思いますが、トマトや柑橘類など果汁が多いものや酸味があるものは、粘膜にできた水疱にはとても染みて痛いので、できれば牛乳など粘膜表面に膜を作るようなものが摂取しやすいです。

 

ミルクや母乳を飲んでいる子は、離乳食は無理でもミルクか母乳だけであれば飲める場合が多いです。あまりに痛みが強くて、半日以上何も摂取できなければ、脱水症状の対策のために点滴も考慮するべきです。

 

よく聞かれるのが、保育園などへの登園の目安ですが、特に法律上の決まりはありませんが、熱がさがって24時間以上経って、食事などがそれなりに入っていれば問題ありません。

 

ただし、園や施設によっては許可証が必要になることもあるので、直接確認したほうがよいでしょう。

ヘルパンギーナの感染対策

ヘルパンギーナは生涯のうちに何度でも感染する可能性があります。ヘルパンギーナの感染力は感染症としては強いほうで、保育園や幼稚園などの集団生活をしている子どもたちの中ではあっという間に感染が広がります。

 

基本的には飛沫感染または接触感染なので、新型コロナウイルスの感染対策と同様の対策で予防することができますが、コロナ禍になってから感染者数が激減し、未だに一度もヘルパンギーナに罹ったことがない子どもが増えると、集団としての免疫力が低下してしまうため、今起こっているような季節外れの流行の原因にもなると考えられています。

 

また、小さい子どもだけでなく小中学生から大人まで、感染してしまう可能性があります。大きくなればなるほど、症状もひどくならない傾向にはありますが、うっかり子どもからうつってしまった大人が、喉が痛すぎて大変つらい思いをすることもあるので、できる限りの感染対策は怠らないほうがよいですね。

 

ただし、何も対策をしていない場合、子どもが発症した時点ですでに大人は感染後の潜伏期間である場合もあります。

 

普段から家でも食事前の手洗いや手指消毒を心がけ、コップやタオルなどの共有をしないことや、お料理も個人個人の分を取り分けるなど、基本的な感染対策をしておくことをお勧めします。

 

 

米田 真紀子

小児科医

医療法人 啓信会きづ川クリニック

 

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