(※写真はイメージです/PIXTA)

この秋に東京都内を中心に流行が見られた手足口病についてご紹介したいと思います。手足口病という感染症はどんな疾患なのでしょうか? また、ご家庭で気をつけたいこと、保育園、幼稚園への登園の目安などを、けいこ豊洲こどもクリニックの塚田先生がお伝えします。

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手足口病とは

「保育園のクラスで手足口病が流行っている→うちの子が発熱した→手のひらや足の裏をみても発疹はない→他の病気なの!?」と慌てて受診されるケースが多くあります。よくよくみるとお子さんは口に手を入れており、よだれが多く、肘、膝、おしり、もしくはみえづらい口腔内に発疹がみられることがあるのです。(ちなみに発疹は「ほっしん」と読みます。時々、受診される方がはっしんと言われる方もいらっしゃいますが、正しくは「ほっしん」と読みます。)

 

手足口病は厚生労働省によると毎年7月下旬に流行る夏のウィルス性感染症です。口腔粘膜や手、足に水疱性発疹が発生する感染症として知られています。2021年の10月〜11月には、都内にある筆者の病院があるエリアでは比較的多い印象がありますが、同じ都内でも流行がみられていない地域もあり、地域差があるように感じます。

 

受診されるお子さんは、冒頭にご紹介したように発熱した、もしくは手や足に発疹が出た!という方が多いですが手のひらや足の裏をみるだけでは発疹に気が付きにくい「かくれ手足口病」というケースもあるので要注意です。

 

手足口病の原因ウィルスで有名なものはコクサッキーA6、A16、エンテロウィルス71です。これらウィルスの種類によって発疹の出る部位や症状が変わることもあり、手掌、足底の他、肘周囲、膝裏、臀部に発疹が出ることもあり、これらを総称して手足口病と名付けているうえに症状が多岐にわたるので「かくれ手足口病」のエピソードには現場では多く遭遇します。

手足口病の感染経路対策

手足口病の好発年齢は4歳以下のお子さんに非常に多いですが、学童にも流行がみられることがあり、家庭内感染などで成人にも発症することがあります。感染経路は飛沫感染、経口感染、水疱内容物からの接触感染で起きるため保育園で一人感染者が出るとその後、数人続くことがあり、集団生活の中では避けにくい疾患の一つといえるでしょう。

 

感染後は唾液や鼻汁、便中からのウィルス排泄が2〜4週間ほど続くこともあるため、家族内や集団生活では注意が必要です。症状として、発熱は罹患したお子さんのうち約1/3の子にあらわれる程度で38℃以下のことが多く、現場では発熱を認めないお子さんが多い印象です。

 

3〜5日の潜伏期の後に口腔粘膜、手掌、足底、足背、肘、膝、臀部などに2~3mmの水疱性発疹が出現することがありますが文献によるととくに痛みやかゆみは伴わないと言われております。

 

しかし、医療現場では冒頭でご紹介しましたように口に手を入れて来院されるお子さんや、よだれが増え食欲が落ちるお子さんを多く経験しますので、口腔内水疱性発疹については痛みや違和感はあるものと認識しております。実際には手足に発疹があらわれるのみで発熱もなく経過するお子さんも多く、気づかれないケースもあるでしょう。

 

予後良好な疾患ではありますが、稀に急性髄膜炎を合併することがあり、感染数週後に爪が剥がれ落ちる爪甲脱落症が発症することがありますのでしばらくは注意が必要です。手足の水疱性発疹は通常は3~7日で治まります。

 

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※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』から転載したものです。