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コロナ禍の思わぬ副産物…長時間労働、改善へ
日本では長く、「長時間労働」が問題視され、過労死がニュースになるたびに早急の対策が求められてきました。厚生労働省『過労死等の防止のための対策に関する大綱』によると1週間の就業時間が60時以上となった長時間労働者は、男性30歳~40歳代で最も多く、2019年は40歳代男性で13.0%、30歳代男性で12.8%となっています。
そんななか、2019年4月、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)」の一部が施行され、長時間労働の是正に向けた動きが鮮明に。またコロナ禍によって、一時的に労働時間は減少傾向にあります。
厚生労働省『毎月勤労統計調査地方調査』によると、2015年を100とした際、総実労働時間(所定内労働時間+所定外労働時間)は徐々に減少し、特に働き方改革関連法が改正となった2019年は2ポイント以上も減りました。またコロナ禍の2020年も労働時間は減少しています。
【労働時間指数の推移】
※2015年を100とした場合
2015年 100.0
2016年 99.5
2017年 99.3
2018年 98.5
2019年 96.3
2020年 93.6
出所:厚生労働省『毎月勤労統計調査地方調査』
しかし雇用形態別にみていくと、一般労働者は2015年を100としたら2020年は95.1、パートタイム労働者は2020年は89.1。法改正とコロナ禍の対応として、まずパートタイマーの労働時間削減に動いた企業の姿がみえてきます。
また厚生労働省は過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について『過労死等の労災補償状況』としてまとめています。令和2年度版によると、過労死等に関する請求件数は2,835件。前年から161件の減少、支給決定件数は194件で前年から22件の減少となりました。
細かくみていくと、「脳・心臓疾患」に関しては、請求件数は784件で前年比152件の減少。また時間外労働時間別(1ヵ月、または2~6ヵ月月における1ヵ月平均)支給決定件数をみていくと、「評価期間1ヵ月」では「100時間以上~120時間未満」が最も多く、「評価期間2~6ヵ月における1ヵ月平均」では「80時間以上~100時間未満」が最も多くなっています。
「精神障害」に関しては、請求件数は2,051件で前年度比9件の減少。時間外労働時間別(1ヵ月平均)支給決定件数は「20時間未満」が最も多く、「100時間以上~120時間未満」が続きました。