2020年、突如世界中を襲った新型コロナウイルス感染症は、経済はもちろん私たちの生活にも甚大な影響を及ぼしました。しかしマイナスのことだけでなく、プラスの面も。長時間労働が問題視されていた日本ですが、コロナ禍でリモートワークが進められ、労働時間の短縮につながったのだとか。厚生労働省の資料からみていきましょう。
都道府県「労働時間」ランキング…短さ1位は京都、長さ1位と24時間差 (※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍、最も労働時間が長かった都道府県は?

働き方改革、そして新型コロナウイルス感染拡大でリモートワークが浸透したこともあり、改善傾向にある労働時間。しかしリモートワークの実施には地域差があったように、労働時間にも地域差があります。前出の『毎月勤労統計調査地方調査』(令和2年平均分結果概要、事業所規模5人以上、調査産業計)で、都道府県別の労働時間、そして給与の関係をみていきましょう

 

*2021年11月11日現在、宮城県は県職員による不適切な事務処理を行っていた調査票を除外し再集計中のため数値不明。ちなみに2019年、宮城県は総労働時間144.7時間で、全国16位にあたる

 

1ヵ月の総労働時間の全国平均は135.1時間。47都道府県のなかで最も労働時間が長いのは「岩手県」で148.2時間。「青森県」「秋田県」「島根県」「福島県」と続きます(関連記事『【すべて見る】最新・47都道府県「労働時間」ランキング』)。

 

一方で最も労働時間が短いのは「京都府」で123.6時間。「奈良県」「神奈川県」「埼玉県」「兵庫県」と続きます。

 

岩手県は2019年度も151.0時間とトップでしたが、新型コロナ感染においても新規感染者が最後までゼロだった県。コロナ禍の影響が小さかったことも、「全国で最も働く都道府県」になった要因かもしれません。

 

また2019年と2020年と比較し、労働時間は全国平均4.0時間、減少しました。そのなかで最も 減少幅が大きかったのが「佐賀県」で-9.7時間。「京都府」-7.0時間、「滋賀県」-6.9時間、「岐阜県」-6.5時間、「山梨県」-6.3時間と続きます。

 

一方で減少幅が小さかったのが「愛媛県」と「宮崎県」で0.7時間の増加。プラスに転じたのは、この2県のみでした。

 

さらに同調査の現金総支給額から時間給を算出します。最も高いのが「東京都」で3,038円。2位は「神奈川県」で2551円。「愛知県」「大阪府」「兵庫県」と続きます。一方で時間給が最も安いのが「青森県」で1774円。東京都の6割の水準となっています。

 

1位と47位で24時間以上の地域差が生じている「労働時間」。ただこの調査は事業所からの申告をもとにしていますから、いわゆる「サービス残業」は含まれません。コロナ感染が落ち着きつつあるいま、リモートワーク解除の動きもみられ、“これまで通り”になりつつあります。「無駄な労働時間の削減」という、コロナ禍の思わぬメリット。せっかくだから生かしていきたいものです。