(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、食物アレルギーと診断される子どもが増えていると、きづ川クリニックの小児科医、米田真紀子先生はいいます。日本ではおよそ10人に1人の子どもに食物アレルギーの疑いがある一方、はっきりとした原因はいまだ解明されていません。場合によっては意識障害や血圧低下など、命の危険もある食物アレルギーについて、米田先生に話を聞きました。

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約「10人に1人」の子どもが食物アレルギーの可能性

食物アレルギーとは、体内に入った食品に免疫機能が反応することで、体に不利益な反応が起こることです。

 

乳児期での発症が最も高く、日本の全国調査で約5~10%の子どもに食物アレルギーがあるという報告があります。

 

また、食品別では、鶏卵が約40%を占め、続いて牛乳・乳製品が約20%、小麦が約10%で、あとはピーナッツ、果物、甲殻類がそれぞれ数%ずつという調査結果があります。

 

食物アレルギーが発覚するタイミングは初めての摂取のときが6割近くを占め、必然的に0歳台での発覚が全体の9割を占めます。

 

食物アレルギー発症の原因はまだはっきりと解明されているわけではありませんが、乳児期から湿疹がよく出ている子どもは、皮膚バリア機能の低下により、アレルゲンに反応しやすくなることが分かっています。

 

乳児湿疹の症状が強い子・強かった子は食物アレルギーのリスクありと判断します。その他、家族内のアレルギー歴やきょうだいの有無などの生活歴も含めて総合的にリスクを判断します。

 

食物アレルギーの症状は、皮膚の発赤やじんましんなどの皮膚症状から、咳・喘息などの呼吸器症状、さらに嘔吐や下痢などの消化器症状など、非常に多彩です。

 

また、症状が重くなれば、意識障害や血圧低下といった重篤症状が出ることもあり、最悪の場合死に至ることもあります。

食物アレルギーの診断で重要なこと

食物アレルギーの診断は、「その食品を摂取することでアレルギー症状が出るかどうか」ということが一番重要です。

 

例えば、茶碗蒸しを食べた直後に発疹が出てきた、というエピソードがあったとします。

 

茶碗蒸しは鶏卵アレルギーで症状を出しやすい食品のひとつではありますが、それだけで即、卵アレルギーだということには結びつかず、茶碗蒸しの中にエビやカニ、銀杏など、他にもアレルギー症状を発症する可能性のある食品が入っていたかもしれません。食物を食べたあとに発疹が出たとしても、全然関係ない発疹かもしれません。

 

また、嘔吐症状などは数時間経ってから出たりすることも多いので、逆に症状として認識されていない場合もあります。

 

診断のための一番確実な方法は、疑わしい食物を単独で摂取したときに、比較的短時間内にはっきりとしたアレルギー症状が現れるかどうかを、機会をあらためて確認することです。

 

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