(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、食物アレルギーと診断される子どもが増えていると、きづ川クリニックの小児科医、米田真紀子先生はいいます。日本ではおよそ10人に1人の子どもに食物アレルギーの疑いがある一方、はっきりとした原因はいまだ解明されていません。場合によっては意識障害や血圧低下など、命の危険もある食物アレルギーについて、米田先生に話を聞きました。

保険上、同時に測定できるのは13項目まで

乳児や小さい子供の場合は、疑わしい食品を摂取することで強いアレルギー症状が出てしまい、危険を伴うことがあるため、ある程度の被疑食品を絞りこめたら、アレルギー検査を行って診断を進めていきます。

 

ここでいうアレルギー検査とは、血液中の「抗原特異的IgE抗体」と言われる抗体の値を測定することや、被疑食品のエキスやエキス製剤を皮内に入れて反応を見るプリックテストという検査などを指します。

 

大切なのは、しっかりと被疑食品を絞り込んでから検査を行うことです。というのも、血液検査のアレルゲン項目は実に200項目以上あり、必要時にそこからいくつか選んで検査をすることになるのですが、保険上、同時に測定できるのは13項目までと決められています。

 

また、30種類以上の項目をセットで測定できる検査もありますが、自分の測定したい検査が入っていないこともあるので、しっかりと目的を持って検査をすることが重要です。

アレルギー検査が「陽性」でも、場合によっては飲食可

「アレルギー検査で念のため測った食品が陽性だったのですが、どうしましょう」

 

という相談をよく受けます。前述のとおり、症状が出てから血液検査をして食物アレルギーと診断する、ということが大前提なので、血液検査が陽性だからといって、必ずしも食物アレルギーであるとは言えません。

 

例えば、アレルギー検査をして小麦が陽性だったけど、パンもうどんも問題なく食べています、という症例にもよく遭遇しますが、その場合は、少なくとも現在問題なく食べられているものに関しては、新たに制限を加える必要はありません。

 

ひと昔前はアレルギー検査で陽性が出れば何でもかんでも除去してしまうということもよくありましたが、今では「一律の除去が食物アレルギーを悪化させている」ことも分かってきました。

 

また、逆に血液検査で全然アレルギーの値が出ないからといって、何でも問題なく食べられるとも限りません。

 

ややこしいですが、血液検査の結果はあくまで補助的なもので、確定診断ができるというものではないということです。

 

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