最近、よく耳にする「FIRE」。一方で、実際にFIREを実現させた人が身の回りにいるかといえば「誰も……」という人も多いでしょう。エリートのイメージが強い、国家公務員がFIREの実現を目指したら……考えていきます。
平均年収649万円「国家公務員」…不動産投資で「FIRE実現」を目指したら (※写真はイメージです/PIXTA)

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エリートの「国家公務員」FIRE実現のために貯蓄を始めたが…

「経済的自立と早期リタイア」を意味するFIRE。なんとも耳障りのいい言葉であるため、憧れをいだく人は多いでしょう。

 

どうしたらFIREを実現できるのか。

 

そもそもFIREには「年間生活費の25倍の資産を確保し、投資などで年利4%の運用益をあげて生活費をまかなう」という「4%ルール」というセオリーがあります。

 

「なぜ4%?」といえば、米国の株式市場に基づくもの。FIREは貯蓄を取り崩して生活するのではなく、運用益で生活していくというスタイル。定年後、年金暮らしになった際に「働けるときまで働きたい」という人は多いですが、そのなかには「貯蓄の目減りすることに絶えられない」という人が結構います。その点、FIREは貯蓄を取り崩すことは前提としていないので、安心して早期リタイアを実現できる、というわけです。

 

ちなみに注意点としては、この4%には税金などは考慮されていない、ということ。これらも含めて貯蓄を目減りさせないことを目指すのであれば、4%以上の運用を目指すことが求められます。

 

また生活費の25倍を考えた際、その額は人それぞれ。何かとお金がかかる都会暮らしと、半分自給自足的生活をおくる田舎暮らしでは、生活費の25倍には大きな差があります。

 

ちなみに総務省『家計調査家計収支編2020年』によると、二人以上世帯の消費支出は平均月30万5,811円。単身者の平均は16万8,965円。独身であれば、その300倍、約5,000万円がFIRE実現の平均値、といえるわけです。

 

たとえば、毎日、国のため、わたしたちの生活のために働いている国家公務員がFIREを目指したとします。人事院『令和3年国家公務員給与等実態調査』によると、みなさんがイメージする国家公務員(平均年齢42.7歳、平均経験年数20.9年)は、基本給平均33万6,333円、諸手当を入れて平均41万4,729円。そこに夏冬4.5ヵ月分の賞与プラスされます。単純計算、年収649万0,247円となります(関連記事:『最新調査】国家公務員の平均月収、推定年収』)。

 

金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査(令和2年)』によると、年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合は、平均13%。そこから考えると、国家公務員の平均貯蓄額は年間67万円。FIRE実現のための貯蓄、たとえば5,000万円を給与からの貯蓄で実現しようとしたら……一生が終わってしまいます。

 

つまり、「生活費の25倍の貯蓄」を実現させてから、「年4%の運用」という流れでは決してFIREは実現させることはできず、同時進行が絶対条件といえるのです。