高齢化の進展で社会保障増…手取り額は減るばかり
――給与から色々と天引きされるのは仕方がない。給与さえ上がれば……
そんな会社員の思いも叶わないであろうことは、多くの人が知るところ。国税庁『民間給与実態統計調査』によると、2020年、会社員の平均給与は平均433万円。時系列で見ていくと、バブル崩壊後、不良債権問題、ITバブル崩壊、リーマンショック……と日本経済が浮上するきっかけはなく、会社員の給与は前年比マイナスを連発。現在の給与水準は、バブル期と同等で、「会社員の給与は30年間上がらない」という状況です(関連記事:『会社員の「平均給与」2年連続減…4割が「年収300万円以下」の衝撃』)。
さらにもうひとつ衝撃的事実。同じ給与でも手取り額が減っている、という事実です。
――昇給したのに、手取り額が減っている!
そんなことを聞いたことはないでしょうか? なぜそのような事態が起きているかといえば、単純な話、天引きされる金額が増えているからにほかなりません。
総務省『家計調査』で勤労世帯の家計を例に、実収入と非消費支出(所得税や住民税などの直絶税や公的年金保険料や健康保険料、介護保険料などの社会保険料)の割合の変化を見ていくと、2020年は18.19%。それが2010年は17.42%、さらに2000年は15.70%。20年ほどで約2.5%も負担が増えているのです(関連記事:『年々負担が重くなる…家計における「税金+社会保険料」率の推移』)。
非消費支出の増加の要因は、社会保険料の増加によるところが大きいと考えられます。消費高齢化に伴い、社会保障負担は増加。全国健康保険協会『保険料率の変遷』によると、2000年代だけみても、「健康保険料」は8.20%から10.00%に増加。さらに2000年からは介護保険料が天引きされるようになり、負担は大きく増えています。
日本の高齢化を止めることは難しく、社会保険料の負担が減ることは難しいことだと想像できます。であればそれ以上に給与が増えていくしか、手取り額を増やす方法はありません。しかし、この30年の平均給与の推移を見ると、絶望するしかない……日本はそのような状況です。