先月末、独立行政法人日本学生支援機構が発表した『令和2年度学生生活調査結果 大学昼間部(速報値)』で、苦しい学生の経済事情が明らかになりました。そんな学生に対して、岸田総理はどのような支援を考えているのでしょうか。
もう大学を辞めるしかない…困窮を極める学生を岸田総理は救えるのか? (※写真はイメージです/PIXTA)

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仕送りが減り、アルバイトもできず…二重苦の学生の実情

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長引くコロナ禍で、会社員には厳しいニュースが続いていますが、問題は、当人だけには留まりません。その子どもである、大学生も厳しい状況下にあります。

 

独立行政法人日本学生支援機構が発表した『令和2年度学生生活調査結果 大学昼間部(速報値)』によると、実家からの仕送りは114万4,700円。1ヵ月9万5,000円ほど。前年と比べると、5万1,900円の減少となりました。

 

またコロナ禍では、バイトをする学生も多い飲食店で営業自粛を求められ、学生のアルバイト収入も前年比9%ほどの減少で、年間36万6,500円。奨学金なども含めた収入は192万7,600円、月額16万円ほどでした。

 

収入が減れば、当然支出も減ります。食費は前年比約10%の減少、娯楽・嗜好品の出費は前年比14%減。ニュースでボランティアによる食べ物の配給が報じられることがありますが、そこには学生の姿もちらほら。収入が減った分、食費を削って対応しようとする学生の姿が目に浮かびます。

 

さらに学生のいる世帯の年間収入の分布を見ていくと、「600万~700万円」の世帯が最も多く、10.8%。また前回平成30年調査と比較すると、年収の低い世帯が増加傾向にあり、年収400万円以下世帯が、15.2%から17.0%と約2ポイント上昇。親元の苦しい台所事情がうかがえます。

 

【学生のいる世帯の「年間収入」の分布】

「200万円未満」5.7%

「200万~300万円」4.9%

「300万~400万円」6.4%

「400万~500万円」7.4%

「500万~600万円」9.1%

「600万~700万円」10.8%

「700万~800万円」10.1%

「800万~900万円」9.7%

「900万~1,000万円」8.0%

「1,000~1,100万円」8.4%

「1,100~1,200万円」4.2%

「1,200万円以上」15.3%

 

出所:独立行政法人日本学生支援機構『令和2年度学生生活調査結果 大学昼間部(速報値)』より作成

 

このような経済状況を反映して、「家庭からの給付のみで修学可能」の割合は、前回52%から49.1%と、約3ポイントの低下。一方、アルバイトをしていない学生は前回13.9%から19.3%と、5ポイント以上も上昇。給与減の親を頼れず、コロナ禍で思うようにアルバイトもできず……成すすべがない大学生の現状が見えてきました。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)