2020年コロナバブルを的中させた「経済の千里眼」は、アフターコロナ相場をどう読むのでしょうか? 成長(グロース)株投資を中心に行う筆者が、グロース中のグロース株より3つの銘柄をピックアップして解説します。本稿に記載されている数字や情報は執筆当時(2021年2~3月)のものですが、プロ投資家の視点を通して見ることで、資産形成や経済見通しのヒントが得られるはず。※本連載は菅下清廣氏の著書『アフターコロナ相場で資産を増やしなさい 投資家が注目する88銘柄はこれだ』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。
コロナ後も「株価が上がりそうな銘柄」の特徴【プロ投資家が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

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富士フイルムホールディングス(グロース株/バイオ)

■通常、「みんな知っている会社の株」は買うべきではないが…

誰もが知っている会社の富士フイルム。もはや解説は不要ですが、すでにフィルムの会社ではありません。一般的に、大企業であればあるほど、業態を変更することは困難を極めますが、今現在、バイオ関連を手がける富士フイルムは、「変身」することができた数少ない大手企業の1つと言えます。「世界は、ひとつずつ変えることができる。」というテレビCMをご覧になった方もいるでしょう。「科学で肌を守る。」「ひざ軟骨をつくる。」「超音波をポケットに入れる。」「ディープ紫外線を遮断する。」「ウイルスを早く見つける。」「肺がんと戦う。」といったさまざまなテーマにチャレンジしているのが、変身後の富士フイルムです。

 

結果的には、コロナ治療薬としての承認は見送りとなっていますが、グループ会社である富士フイルム富山化学が開発したアビガンは、度々メディアで取り上げられました。

 

株価は、2020年3月13日に4152円をつけた後、「アビガン、新型コロナ治療の臨床試験開始」の報と連動するように、4月6日には6420円に上昇。その後、7月9日に4567円まで下落しますが、2021年2月10日には6537円を記録しました(図表1)。

 

株価:2021年11月9日時点で9,125円(※執筆当時2021年3月では6,605円)
[図表1]富士フイルムホールディングス(東証一部 4901) 株価:2021年11月9日時点で9,125円(※執筆当時2021年3月では6,605円)

 

時代が変わっても生き残っていくであろう「変身企業」としての風格が感じられる銘柄と言えるでしょう。「誰もが知っている会社の株は買うな」と私は常々言っていますが、この株は例外の1つです。

識学(グロース株/内需・消費)

株価が大きく上下しない…「もみ合う株」は強い傾向

俳優の要潤氏が「識学コンサルタント」に扮して問いを投げかけるユニークなCMを展開する識学。代表の安藤広大氏には、『伸びる会社は「これ」をやらない!』(すばる舎)、『リーダーの仮面「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法』(ダイヤモンド社)などの著書もあります。

 

そもそも「識学」とは何か。ホームページには、「識学は『成果の上がる組織をつくる』理論です。組織内の意識・思考のズレを取り除き、ハイパフォーマンスな組織を作りあげます」とあります。

 

サービス内容を見る限りは、識学の理論を熟知した「講師」によるコンサルティング、研修に加え、クラウドサービスも展開しているようです。

 

ここで、株式投資のポイントを1つご紹介しましょう。2020年8月、9月あたりに、大きく上がりもしなければ、下がりもしない時期があるのが、わかりますでしょうか(図表2)。こういう状態を「もみ合っている」と表現しますが、もみ合う株は「強い」傾向にあります。

 

株価:2021年11月9日時点で2,170円(※執筆当時2021年3月では1,950円)
[図表2]識学(マザーズ 7049) 株価:2021年11月9日時点で2,170円(※執筆当時2021年3月では1,950円)

 

また、この株については、7月9日の1546円から大きく下がらずに約半年(6ヵ月)もみ合って、2020年の年末12月28日に1239円の安値をつけて底入れ、その後急騰しています。このように長くもみ合った後に上昇する株は強いです。

ベネフィット・ワン(グロース株/内需・消費)

■時価総額9000億円超の成長企業

もともとは福利厚生のアウトソーシング事業を行なう会社として、1996年に設立されましたが、今現在は、金融、旅行、ヘルスケア、購買・精算代行といったさまざまなサービスを展開。中国、アメリカ、シンガポール、ドイツ、タイ、台湾、インドネシアなどにも進出しています。

 

代表取締役社長の白石徳生氏は、もとはパソナグループに在籍していて、ベネフィット・ワンもパソナの社内ベンチャー第1号として設立された会社です。その後、2004年にジャスダックに上場、2006年には東証二部、2018年には東証一部に市場を移し、2021年11月現在では時価総額が9000億円を超え、800億円強のパソナを凌駕するまでに成長。2021年3月期の売上高は370億円強、営業利益は約98億円、経常利益は約98億6000万円と右肩上がりとなっています。

 

大株主のリストの中には、社長の白石氏も名を連ねていますが、注目すべきは過半数を取得しているパソナグループ。パソナの経営にとっても、ベネフィット・ワンが好調であることは、安心材料の1つとなっているのではないでしょうか。

■業績、株価も右肩上がり…グロース株の代表的銘柄

株価は、2019年12月4日に2441円をつけた後、2020年3月17日には1104円まで下落。その後上昇を続け、2020年11月27日には3445円と、3月17日の株価と比べ3倍以上に(図表3)。2021年2月3日に3325円の戻り高値をつけてダブルトップ。その後反落して3月4日に2639円の安値をつけていますが、高値圏を維持しています。業績、株価も右肩上がりのグロース株の代表的銘柄と言えます。

 

株価:2021年11月9日時点で5,790円(※執筆当時2021年3月では2,952円)
[図表3]ベネフィット・ワン(東証一部 2412) 株価:2021年11月9日時点で5,790円(※執筆当時2021年3月では2,952円)

 

 

菅下 清廣

スガシタパートナーズ株式会社 代表取締役社長

国際金融ストラテジスト

 

 

※掲載されている数字や情報は執筆当時(2021年2~3月)のものです。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

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