毎月の積立額は3,000円程度でスタート
亮平さん:つみたてNISAについてだいぶ理解が深まったら、毎月の積立額をいくらにするか考えてみようか。
ペンタごん:積立額か~いくらがいいんだろう? 月収の10%を貯蓄する「先取り貯蓄」で月2万円は貯金できるようになったから、それを全額つみたてNISAに回すのはどうかな⁉
亮平さん:ペンタごん、まだ貯金があまり貯まっていなかったよね? まずは生活防衛資金を貯めることが最優先だから、投資に全額回すのは良くないね。
ペンタごん:ガーン! そうだった…でもせっかく学んだつみたてNISAも始めたいんだよ~!
亮平さん:それなら、生活防衛資金を貯めながらつみたてNISAも並行してやってみるといいよ。
たとえば月2万円の先取り貯蓄ができているなら、貯金と投資それぞれに1万円ずつ分けるのもアリだね。ただペンタごんは貯金額がまだ少ないから、割合としては貯金を多めにして、投資に回すのは少額にしておこうか。
ひとまず月3,000円程度から、つみたてNISAを始めてみるのがいいと思うよ。
大儲けを狙うほど、下落したときの損失も大
ペンタごん:月3,000円かぁ…なんかショボいな。たくさん投資した方が、その分利益も増えるんでしょ?
亮平さん:たしかに投資額を増やすと、それだけ利益も期待できるけど、逆に言うと損失も大きくなってしまう可能性があるんだ。
仮に100万円投資したとして、暴落が来て30%のマイナスになった際は30万円の損失になるけど、1,000円の投資なら300円の損失で済むからね。投資額を少なくすれば、それだけ金額面での損失を抑えることができて精神的にも余裕を持ちやすいので、投資初心者は少額投資から始めるのがおすすめだよ。
ペンタごん:なるほど~! 投資額を増やすと大きくプラスになるかもしれないけど、反対に大きくマイナスになる恐れもあるから、最初は小さく始めてみるのが大事なんだね。そうしたら、月3,000円でどの投資信託に投資してみるのがいいのかな?
亮平さん:基本的には、「投資はリスク(値動きの幅)があるからこそリターン(利益)が得られる」という考え方をもとに、商品を選ぶようにしよう。
全世界株式や米国株式などの投資信託ならハイリスク・ハイリターンで値動きは大きくなるし、債券が多い投資信託ならローリスク・ローリターンで値動きは小さくなる傾向があるね。
ここで大事なのはどれだけ儲けられるかより、どれくらいの損失まで自分が我慢できるかを考えることなんだ。
これをリスク許容度と言うけど、投資が続かないよくあるケースは、リスク許容度を超える損失を抱えてしまった時なんだ。●%あるいはX万円のマイナスまでなら我慢できるといった具合で、自分のリスク許容度がどれくらいなのかを把握しておくのが重要だよ。
ペンタごん:リスク許容度ねぇ…たしかに大事だとは思うんだけど、自分がどれくらいの損失まで我慢できるかなんて、実際に投資を始めてみないと分からないんだよなあ。
亮平さん:そういう人は、まずリスクが高い商品から低い商品まで少額投資してみて、値動きを比べながら運用することで、自分のリスク許容度のイメージトレーニングをするのがいいよ。運用を続けているとそれぞれの運用成績に差が出てくるから、高リスクの商品は低リスクの商品と比べてどんな値動きになるかを肌で感じて、投資に慣れることもできるしね。
ペンタごん:お~それはいいアイデアだね!
おすすめの高リスク商品、中リスク商品、低リスク商品
ペンタごん:でもリスクが高い商品から低い商品って、具体的にどれがいいのかな?
亮平さん:僕はこれら3銘柄に月1,000円ずつ積立をしているけど、値動きに違いが出て分かりやすいと思うよ。
高リスク商品は、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が人気だね。もしくは米国株のみで運用したいなら、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を選ぶといいよ。
中リスク商品は、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)という株式や債券、REIT(不動産投資信託)などでバランス良く構成されている投資信託がよく選ばれているね。ただ2020年のコロナショックの際、8資産均等型はREITの回復が鈍かったことで全世界株式以上に損失が大きくなった時もあったから注意しよう。
低リスク商品は、三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)がおすすめかな。つみたてNISAでは債券のみで運用する投資信託を選ぶことはできないんだけど、この銘柄は債券が多めの構成になっているので、比較的値動きが安定しているね。
ペンタごん:まずは比較運用でリスクの違いを知るべしだね! ちなみに、リスクの違いが分かってきたら、その後はどうすればいいのかな?
亮平さん:ペンタごんもこの3銘柄で6ヵ月くらい運用してみて、それぞれのリスクの違いがだいたい分かったら、自分のリスク許容度を改めて考えた上で商品や積立額をアレンジしてみるといいよ。
たとえば長期運用を前提として、もっとリスクを取ってみたいと思ったら、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の積立額を増やすのもアリだね。
ペンタごん:よ~し、まずは亮平さんと同じ3銘柄で僕もつみたてNISAを始めてみるぞ!
亮平さん:【図表】に僕がこの3銘柄で2020年の初めから6ヵ月間運用した実績も載せておくから、参考にしてね!
<Point>
●少額投資であれば下落時も金額面での損失を抑えることができて精神的にも余裕を持ちやすいので、投資初心者は月3,000円程度から始めるのがおすすめ。
●どれくらいの損失まで自分が我慢できるかのリスク許容度がまだ分からないうちは、リスクが高い商品から低い商品までを持ち、値動きを比べながら運用してみよう。
小林亮平
資産運用YouTuber
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
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