2020年コロナバブルを的中させた「経済の千里眼」は、アフターコロナ相場をどう読むか? これから追い風となるであろうデジタルや内需消費関連を中心に、グロース中の「グロース」、グロース中の「バリュー」の銘柄をピックアップして見ていきましょう。本稿に記載されている数字や情報は執筆当時(2021年2~3月)のものですが、プロ投資家の視点を通して見ることで、資産形成や経済見通しのヒントが得られるはず。※本連載は菅下清廣氏の著書『アフターコロナ相場で資産を増やしなさい 投資家が注目する88銘柄はこれだ』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。
コロナ禍で下がった銘柄…「そのまま下落」か「再上昇」か?プロ投資家はこう読む (※写真はイメージです/PIXTA)

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HENNGE(グロース株/デジタル)

■SlackやDropboxなどのクラウドセキュリティサービスを提供する会社

社名を目にした際、一瞬、何と読めばいいのか、戸惑ってしまう人も多いのではないでしょうか。「へんげ」と読むクラウドセキュリティサービスを提供する会社です。

 

Microsoft365、Slack、Dropbox、Salesforce、kintoneといったクラウドサービスへのアクセスを簡易にかつ安全に行なうSaaS認証基盤である「HENNGE One」といったサービスを展開しています。

 

女優の白石麻衣氏が、パスワードを忘れて困ってしまうというCMでも、「脱パスワードで一括ログイン」という言葉が出てくるように、テクノロジーを使って、世の中に変化をもたらそうとしている会社と言えそうです。

■反落しているが…今後「上昇する可能性」を見極めるポイント

HENNGEの歴史は意外に古く、1996年に設立され、2019年にマザーズに上場。初値は公開価格の40%以上の2001円をつけた後、11月1日に1404円と下落(図表1)。それでも、年末の12月30日には1918円まで戻し、一度は1773円まで下落しますが、それ以降は上昇を続け、10月21日には9760円と、1773円の5倍以上に。さらに2021年1月25日は1万610円をつけて新高値を更新しましたが、その後急落。ダブルボトム形成へ。

 

株価:2021年11月16日時点で5,220円(※執筆当時2021年3月では7,030円)
[図表1]HENNGE(マザーズ 4475) 株価:2021年11月16日時点で5,220円(※執筆当時2021年3月では7,030円)

 

2021年3月執筆時点では、少し高値をつけて休憩していますが、上昇第2波がくる可能性は十分にあると思います。また、大企業や官公庁とのつながりが強い、つまり「よい顧客」を有しているというのも、今後の業績を占うポイントの1つでしょう。

アイモバイル(バリュー株/デジタル)

■ふるさと納税サイト「ふるなび」の運営会社として有名

世間一般には、ふるさと納税サイト「ふるなび」の運営会社として認識されているかもしれませんが、2007年創業当初は、モバイルアドネットワーク「i-mobile」というサービスからスタートしています。

 

その後、「ふるなび」サイトが2014年にオープンし、ブランドイメージ調査(日本マーケティングリサーチ機構調べ)では、「利用者満足度」「利用者メリット」「注目のふるさと納税サイト」の3点について、2年連続ナンバーワンとなっているそうです。現在、第65代横綱の貴乃花光司氏を起用したCMも頻繁に流れています。

 

その後は、「ふるさと納税で旅行にいこう」をキャッチフレーズとした「ふるなびトラベル」という関連事業も2017年に開始。旅行産業は一時的に厳しい状況にありますがコロナ収束後に盛り返す可能性は十分にありそうです。

 

東証マザーズに上場したのは、2016年で、2018年には東証一部に市場を変更。代表取締役会長の田中俊彦氏、代表取締役社長の野口哲也氏が、それぞれ株式の約38%ずつを保有しているため、2人合わせると76%程度、全体の4分3を占める大株主となっています。

 

株価は、2019年12月17日に623円をつけて以降、2020年2月13日に828円、3月13日に441円と上下したあとは右肩上がりを続け、9月に入ってからは急上昇し、10月22日に1829円の高値をつけて天井(図表2)。その後1200〜1400円のゾーンでもみ合う展開が続いています。

 

株価:2021年11月16日時点で1,477円(※執筆当時2021年3月では1,520円)
[図表2]アイモバイル(東証一部 6535) 株価:2021年11月16日時点で1,477円(※執筆当時2021年3月では1,520円)

デジタルホールディングス(グロース株/内需・消費)

業績好調のデジタル銘柄東証一部というだけで、少し安心というところはありますが、社名に「デジタル」とあるように、今年のテーマにもぴったりの会社です。

 

1994年、ダイレクトマーケティングを手がける会社として設立。1995年には社名をオプトに変え、2000年にインターネット広告の効果測定システムをローンチ。2004年にはジャスダックに上場を果たしています。

 

2013年には東証一部に市場を移し、昨年2020年に現在の社名に変更。デジタルシフトのエンジンとなることを謳っていることから、第二の創業期を迎えている会社と言えるでしょう。

 

株価は、2020年3月13日に1050円、8月20日に1128円というダブルボトムを形成。二番底を入れてからは上昇し、2021年2月12日に2252円という当面の高値をつけた後に、押し目となっています(図表3)。そのため、このまま下落するのか、再度上昇するのかを見極める必要があります。

 

株価:2021年11月16日時点で1,623円(※執筆当時2021年3月では2,062円)
[図表3]デジタルホールディングス(東証一部 2389) 株価:2021年11月16日時点で1,623円(※執筆当時2021年3月では2,062円)

 

ただ、2020年12月期決算で売上は減少したものの、営業利益、経常利益、当期純利益は大幅に伸長していますが、大半は所有株の売却によるものです。ですから、今後DX関連の事業などが伸びていくかどうかが、株価の行方を左右すると言えるでしょう。

 

 

菅下 清廣

スガシタパートナーズ株式会社 代表取締役社長

国際金融ストラテジスト

 

 

※掲載されている数字や情報は執筆当時(2021年2~3月)のものです。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

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