50代「住宅ローン返済+資産形成」…45歳定年制でどうなる?
40代でマイホームを手に入れる代わりに、大きな負債を抱える……子どもの教育費も年々大きくなり、毎月の返済に四苦八苦。家計は常に火の車というケースも珍しくはないでしょう。そして子どもの教育費にめどが立ったころ、多くの人は50代を迎えています。
厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、大卒男性の場合、会社員としての年収のピークは50代前半で869万0,100円。50代後半でも835万6,000円と高い水準を保ちます。定年後の生活を見据えると、50代は住宅ローンを返済しつつ、老後のための貯蓄を形成するのに、重要なタイミングだといえます。
【大卒男性会社員「平均年収」年齢別推移】
「20~24歳」334万2,100円
「25~29歳」440万4,900円
「30~34歳」523万4,900円
「35~39歳」610万3,500円
「40~44歳」687万6,100円
「45~49歳」758万6,300円
「50~54歳」869万0,100円
「55~59歳」835万6,000円
「60~64歳」569万2,200円
出所:厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』より算出
そんな状況下で、サントリーホールディングスの社長の新浪剛史氏が唱えた「45歳定年制」が大きな波紋を広げています。経済の活性化と成長のために従来型の雇用モデルから脱却するために必要と考えての発言ですが、一方で経済団体連合会(経団連)は終身雇用制の限界を以前から訴えています。
政府は高齢化や労働力確保などの点で定年の延長を主張。経済界と国との間には大きな溝がありますが、定年が早まるにしろ、延びるにしろ、共通しているのは、今後、雇用は不安定になるだろうということ。「正社員だから安定」という時代が終わろうとしているいま、住宅ローン破産のリスクが高まっているといえるのです。
そのようななか、雇用に左右されない生き方を選ぶか、不測の事態に備えて苦しいながらも資産形成を進めるか。選択肢は、それほど多くはありません。