「いつかは治る」は間違い?「五十肩」を安易に放置してはいけない2つの理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

五十肩は都合のいい言葉で、50歳前後の人で肩関節に痛みがあれば、五十肩と自己判断してしまいがちです。しかし、肩関節の痛みを甘くみてはいけません。自己判断で安易に放置してはいけない理由を横浜町田関節脊椎病院の歌島大輔先生が解説します。

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五十肩で長く苦しむ人の共通点

俗に、「五十肩」と呼ばれる状態の患者さんを専門的に診察するようになって、五十肩で長く苦しまれる人の共通点がわかってきました。それは「放置」してしまうことです。

 

「いや、自分は放置なんかしていない!」とおっしゃる方は、少しお待ちください。ここで私がいう放置してない状態は「肩の専門医の診察を受け、治療をしている」という状態をいいます。となると、一気にハードルが上がってしまいますが、それだけ五十肩は甘く見ない方がいいというのが私の意見です。今回はその理由の2つを解説します。

 

理由1「五十肩ではなく病気だったという可能性」

 

五十肩は都合のいい言葉です。五十歳くらいのご年齢(おおよそ40歳~60歳台)の方が肩関節に痛みを訴えていれば、イコール五十肩です。これは極端にしても、そのように自己判断する方や、周りの人にいわれる方は多いと思います。

 

しかし、実際には五十肩という俗称があらわす病名は主に2種類あります。1つ目は肩関節周囲炎、2つ目は癒着性肩関節包炎です。肩関節周囲炎がより表面的な炎症、癒着性肩関節包炎は肩関節の深いところの炎症という棲み分けですが、両方が同時に発症することもあります。

 

表面上の炎症である肩関節周囲炎は、肩の関節の周囲にある「滑液包」というクッション部分の炎症や「上腕二頭筋長頭腱」というスジの炎症が多いです。

 

深い部分の炎症である癒着性肩関節包炎はその名の通り、「関節包」という部分の炎症で、これは関節を包む膜で、そのすぐ内側は関節の軟骨です。これらの部分の炎症でさらに「関節包」が分厚くなってしまうと肩の可動域が狭くなる(カタくなる)ので、凍結肩と呼ばれる状態に移行するようなイメージになります。

 

しかし実際は、五十肩ではなく石灰沈着性腱板炎や腱板断裂などの腱板の問題だったりすることもあります。これらはレントゲンや超音波、MRIなどの画像検査と診察を組み合わせて診断します。特に、肩を専門にする整形外科医の診察だとしっかり診断してもらえることが多いです。整形外科のなかでも肩関節の分野はかなり専門性が高いことで有名ですので、肩が専門かどうかは重要です。

 

理由2「数年続く症状や後遺症の可能性」

 

五十肩の一般的なイメージは、「いつかは治る」だと思います。

 

しかし、その「いつか」に対する認識は多くの場合、かなりあいまいに見積もられています。「いつか」といっても、ほんの数週間や1〜2カ月で治ると考えている人も少なくありません。

 

実際、そのくらいでよくなる方もいらっしゃいますが、適切な治療を受けなければ、数年間、痛みと可動域制限に悩まされてしまうというケースも少なくないのです。私の外来に、初診で来られた患者さんのなかには、「もう10年前から同じ状態で治りません」という方もいらっしゃいました。

 

さらに知られていないのが、五十肩はいつか治るとしても、「完全」には治らないこ場合があることです。整形外科の有名な医学雑誌 Journal of Bone & Joint Surgeryに掲載された論文(※)では、年単位で症状が続いていた五十肩(frozen shoulder)の患者さんの場合は、最終的にも可動域(動かせる範囲)の制限や痛みが残る人が50%くらいいるというデータを示しています。

 

※B Shaffer et al. J Bone Joint Surg Am. 1992 Jun;74(5):738-46.Frozen shoulder. A long-term follow-up

横浜町田関節脊椎病院 整形外科医

フリーランス整形外科医として磨き上げ続ける肩関節鏡手術スキルを駆使して五十肩・腱板断裂などを対象に治療を行っている。一方でスポーツトレーナーの専門資格を持ち、さらに脳科学に基づくマインドコーチでもある歌島は「何歳からでも人生最大の成長期を創る」というコンセプトで情報発信・オンライン教育事業を展開している。

著者紹介

連載現役医師が解説!様々な「カラダの不調」への対処法

※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』から転載したものです。

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