(※写真はイメージです/PIXTA)

厚生労働省、厚生労働行政推進調査によると、食中毒を除き、これまで食物を食べて具合が悪くなったことがある子どもは18.4%(食品数1,290品目)と、およそ5人に1人の子どもが食べ物をきっかけに、カラダに不調を感じた経験があります。また、食物アレルギーを持つ子どものうち、12.2%は強いアレルギー症状を起こしたとされています。今回、日本小児科学会専門医・指導医でありながら、日本アレルギー学会専門医・指導医としても活動する堀向健太先生が、時には命の危険にもつながる食物アレルギーの危険性と対処法を紹介します。

食物アレルギーを発症した時の対処法は?

食物アレルギーの症状は、多くは皮膚の症状など軽い症状です。その場合は、(処方されているなら)薬を内服し、医療機関を受診しましょう。

 

しかし、頻度はけっして高くはありませんが、生命の危機が起こりうる強い症状を起こすこともあります。そのような強いアレルギー症状を『アナフィラキシー』といいます。

 

『アナフィラキシー』の診断は、実は少し難しい定義があり、『アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏症状』とのことです。

 

難しいので、ちょっとだけ簡単にすると、 アレルゲン等が体に入ってくることで、2つ以上の臓器に、そして全身にアレルギー症状が起こる、命に危険がおよぶ可能性のある過敏な反応のことです。

 

[図表2]アナフィラキシーとは

 

2つ以上の臓器、というのがわかりにくいですね。

 

臓器、というのは体のそれぞれのパーツと考えるといいでしょう。そして、

 

1.皮膚(じんましん、赤くなるなど)

 

2.呼吸器(咳やぜいぜい、呼吸が苦しくなるなど)

 

3.循環器の症状(血圧が下がったり、意識障害を起こす)

 

4.消化器(何度も吐く、強い腹痛など)

 

といった、症状のうち、2つの臓器にわたり、症状が急に広がるのがアナフィラキシーです。

 

実は、定義はさらにややこしく、3つあるのですが、ここでは難しく考えずに『特に強いアレルギー症状』として覚えておけばいいでしょう。

 

アナフィラキシーを起こしたときは、アドレナリンという緊急薬を太ももの外側に筋肉注射をします。

 

しかし、そんな薬がない場合も多いですよね。薬がない場合は、吐物がのどにつまらないように気をつけながら横に寝かせて、周囲の助けを求めつつ救急車を呼ぶのが無難でしょう。

 

なお、急に起き上がらせると、血圧が下がるなどリスクがあるため注意が必要です。

 

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※本記事は、こども医療と育児の総合サイト『こどもKADARAs』から転載したものです。