「歩くと足が痛い」が病気のサイン?
50歳以上で、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病をお持ちの方、喫煙されている方で、歩くと足(ふくらはぎ~太もも)に痛みやだるさを感じるが、立ち止まって休憩すると楽になって、また歩き出せるといった症状(間欠性跛行)に身に覚えがある方に、気をつけてほしい末梢閉塞性動脈疾患という病気があります。
症状は「足」に現れていますが、心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気、もしくは重度の後遺症がのこる可能性のある病気につながる疾患です。
末梢閉塞性動脈疾患とは、心臓を栄養する血管が細くなる「狭心症」と同じ血管の病気で、足の血管が細くなり症状がではじめたものを指します。
「高齢」「糖尿病」「脂質異常症」「喫煙」といった動脈硬化(血管の老朽化)を引き起こす因子がそろえばそろうほど発症しやすくなり、とくに、喫煙、糖尿病はその他の危険因子に比べて3倍~4倍、発症リスクを高めることがわかっています。
初期には無症状のことも少なくありません。しかし、病態が中等度以上になると、歩くと足、とくにふくらはぎに痛みが生じ、立ち止まると痛みが治まりますが、また歩きだすと痛みだす…といった間欠性跛行が現れます。
重症になってくると、安静にしていても足の痛みが生じる潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)といった重大な状態へ進行してしまうのです。
足へ向かう末梢動脈の血管が細くなったり、詰まってしまったりすることで、組織の血流不足・酸素不足にともなう「痛み」「痺れ」などが生じるようになります。
末梢閉塞性動脈疾患が命に与える影響
治療ガイドラインであるTASCⅡによると、症状のある末梢閉塞性動脈疾患をわずらった方の5年後の転機は、下肢切断に至るケースは5~10%、また、命を落とす、つまり死亡するケースは30%にのぼるとされます。
5年後の死亡率が30%といいますと、大腸がんや乳がんのそれと同等です。また、その30%の死亡率の75%は、脳梗塞や心筋梗塞などの血管疾患に起因するものですので足の病気ではなく全身病としてとらえることが重要です。
末梢閉塞性動脈疾患の検査として、最も簡便なものはABI検査(上腕足首血圧比)があげられます。ABI検査は腕と足の血圧を同時に測定し、その比率(足首血圧/上腕血圧)から末梢血管が狭窄している可能性を探る検査です。
通常は手の血圧よりも足の血圧の方が高くなるのですが、血管に狭窄があると足の血圧のほうが低くなり、ABIの数値は下がります。0.9以下になると血管に狭窄が生じている可能性が極めて高くなるとされています。
ABIで足へ向かう末梢動脈の狭窄が疑われる場合に、エコー検査、造影CT検査、カテーテル検査などの精密検査を行い、確定診断となります。
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