(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルス感染症の後遺症に悩む人が多いという。感染時の症状の有無に関わらず、感染から回復した後にも、後遺症のさまざまな症状に苦しんでいる人がいます。後遺症の原因は明確になっておらず、治療に長い時間がかかる場合もあり、感染から長期間、後遺症に悩まされるケースも増加しているという。新型コロナの後遺症について、高座渋谷つばさクリニックの武井智明先生が解説します。

新型コロナウイルスの後遺症は半年以上続くことも

新型コロナウイルス感染症は、急性期では咳嗽(がいそう:せきこむこと)・呼吸困難・発熱などの肺炎症状の他、味覚障害・嗅覚障害・倦怠感などを併発することはすでにご存知と思われます。

 

新型コロナウイルス感染症では現在では重症度分類により無症状・軽症・中等症I・中等症II・重症と区分され、治療内容もある程度のガイドラインが定められながらも、個別対応をしています。その一方で保健所より新型コロナウイルス感染症後で療養終了となっても、4週間以上、さまざまな症状で悩まれる人も増加しています。

 

日本では「コロナ後遺症」、諸外国では「Long COVID」と表現されている症状としては、以下のものがあります。

 

・倦怠感
・思考力・集中力の低下(ブレインフォグ)
・呼吸困難・咳嗽
・関節痛・筋肉痛
・胸痛
・うつ傾向・不安
・頭痛
・持続する発熱
・動悸
・嗅覚・味覚障害

 

上記のコロナ後遺症の症状は、時間の経過で改善する例が多いとされていますが、なかには半年以上続くこともあり、解明されていないことが多いため、根本的な解決方法はなく症状に合わせた対応となります。そのためコロナ後遺症の対応としては身体(器質的疾患)に加えて心理的・精神的なサポートなど多角的なアプローチが必要となります。

後遺症は微熱からうつ傾向までさまざま起きている

ここでは、コロナ後遺症で比較的みられる症状とその対処法の一例をご紹介します。

 

・筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群、運動後倦怠感(post-exertional malaise)

 

少しの散歩や買い物など、これまで可能であったレベルの運動の後、「鉛が乗ったような」極端な疲労感です。SARSの後でも同様の症状があった報告もあります。

 

一番大切な大原則は、「だるくなることをしない」です。

 

疲労感を感じている人は、できるだけ家の中でだるくならない範囲でのみ動くように注意してください。だるくならないようにするだけで、症状の悪化を防ぐことができます。

 

このほか、BCAAと呼ばれる必須アミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン)を多く含む製品の接種(アミノバリューなど)、亜鉛、コエンザイムQ10などが自宅でも摂取可能です。漢方では、十全大補湯などの処方も可能です。

 

・持続する微熱
原因は明らかではありませんが、心因的な要素(うつ傾向)による機能性高体温であることもあり、心理的な支援と抗うつ薬の内服で改善する場合もあります。このほか、頭痛などがあれば漢方では五苓散などの処方で対応することがあります

 

・間質性肺炎(器質化肺炎・肺線維症)
気管支喘息や肺炎の既往がある方などで、感染症のレベルが軽症であっても日常生活レベルでの動作(会話や歩行)などでせき込みが持続する場合もあります。胸部レントゲンやCT検査を感染症治癒後で行い、両側肺野にすりガラス状陰影が残存する場合もあります。

 

治療としては特別なものはなく、喘息と同様にステロイド吸入薬・抗コリン吸入薬、ロイコトリエン拮抗薬内服、去痰剤・気管支拡張薬の内服、漢方等で対応する場合が多いですが、効果には個人差があります。

 

・集中力低下(ブレインフォグ)
コロナウイルスに感染する前の様に、仕事や学業、またパソコンやスマートフォンの画面などに集中ができないという状況です。自己免疫的な機序(きじょ:メカニズム)とも推定されていますが、真相は不明です。脳への血流低下、微小脳血栓による脳の機能低下などとも推定されています。

 

・脱毛、味覚障害
エビデンスは明らかではありませんが、治療法としては亜鉛の内服が一つの方法とされています。

 

・うつ傾向、不安障害
抗うつ薬、抗不安薬の内服を、心理的なサポートとともに時間をかけて行います。

 

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※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』から転載したものです。