知っているようで意外と知らない「食物アレルギー」
『食物アレルギー』とはどんな病気でしょうか? ⾷物アレルギーとは、ガイドラインに書いてある文章を少しかみ砕いて書くと
『その人にとって困ってしまう症状が、⾷物により免疫細胞のはたらきを通じて起こる現象』
のことです。
「免疫細胞のはたらきを通じて」というのは、例えば牛乳を飲むといつも下痢をしてしまうような『乳糖不耐症』や、夏に生卵を食べて食あたりをした、というような、「アレルギーではない現象」を除くためです。
食物アレルギーは以前と比べて増えている
東京で5年ごとに行われている、3歳のお子さんに対する統計『アレルギー疾患に関する3歳児全都調査』があります。
本調査によると、3歳までに食物アレルギー疾患と診断された子どもの割合は、平成11年の7.9%に比較して、令和元年度には14.9%と、2倍近く増えているという結果になっています。食物アレルギーは昔よりも増えているのです。[図表1]
そして、食物アレルギーと診断された子どものうち、12.2%は強いアレルギー症状(アナフィラキシーショック)を起こしたとされています。
これは海外でも問題になっており、例えば英国でも食物によるアナフィラキシーは増加しており、厳しいアナフィラキシーの要因として乳が増えているという研究結果があります。日本だけの問題ではないということですね。
アレルギーの原因になる食物は、卵(34.7%)、牛乳(22.0%)、小麦(10.6%)の3つが多いのですが、ピーナッツ(5.1%)、甲殻類(2.9%)、そば(1.8%)も無視できない数ですし、大人では魚や果物、大豆も少なくありません。
これほど多いのですから、アレルギーの対象物を間違えて食べた子どもや、はじめての食べ物で強い症状を起こし、救急外来を受診する子どもも一定数います。