「長所の発見は成功への入り口」…その理由は?
さて、子どもの長所を見つけることがなぜ大切なのか? という原点をさらっておきたいと思います。
長所を伸ばすと幸せになるから。
長所と幸せがどうつながるのか? 「風が吹けば桶屋がもうかる」ではありませんが、話が飛躍して聞こえるでしょうか。
私は、長所は「ものごとの入口」だと考えています。それはなぜでしょうか?
ここで「自信のある行動」に結びつく長所の大切さについてお話しします。
生きる上で「行動する」ことは、重要なキーワードです。人間は動くことで、だれかに何かを与えたり、またどこかで何かをもらったりを繰り返して、よろこびを感じます。それは行動の「成果」であり、行動した人間だけに与えられる「うれしいご褒美」です。
いずれ子どもも親から巣立ち、自分から「行動」を起こすようになります。だれかが何かをやってくれるのは、子どもが子どもでいられる時代まで。大人になれば、自分で動いて何かを切りひらかない限り、生きていけません。
そのときに大きな味方となってくれるのが長所です。長所を手がかりに始めたことはうまくまわっていくことが多く、子どもの行動を「自信のある行動」に変えてくれるからです。
自信のかけらも持たない行き当たりばったりの行動は、いずれ行きづまって、迷路をさまよったのち倒れこむことになるでしょう。
いっぽう「自信のある行動」は、少々の荒波にもまれようとへこたれる気配がありません。こんな人は、少々の障害にぶつかっても、好奇心と探求心を武器に難局を乗り越えて、軽やかに道を進んでいくに違いないのです。
子どもがさまざまな経験をしながら社会生活を学ぶなかで、長所はその強い突破口となります。だからこそ私は、長所は「ものごとの入口」だと考えているのです。
「幸せの入口」「成功への入口」とも言えそうですね。
先ほど私は「長所は、その人のワクワクのなかにある」と言いました。
人間は本当にワクワクすることであれば、だれに頼まれなくても面白がって続けますから、いずれ人より抜きんでて独自の成果を生みます。
大きな花を咲かせる植物も、始まりは小さな一粒の種です。せっせと水をやり、芽が出たらお日さまの光に当てて育てます。
人間も同じ。長所の種を見つけたら、まずは認め、せっせと褒めて、その芽を育みましょう。思いもかけぬほどうれしい果実を結ぶ明日が、きっとやってきます。
石田 勝紀
教育評論家