お子さんの長所を聞くと、たいてい「短所はたくさん思いつくんだけど…」と返ってきます。しかし、「欠点ばかりが目につくイライラ」が生む「短所口撃」は、子どもの才能をつぶしてしまうもの。長所を伸ばしてあげましょう。ここでは長所と短所について、教育評論家の石田勝紀氏が解説します。 ※本記事は、書籍『子どもの長所を伸ばす5つの習慣』(集英社)より一部を抜粋・再編集したものです。
「うちの子は、短所ばかり…」嘆く母親へ向けて教育評論家がズバリ ※画像はイメージです/PIXTA

「長所の発見は成功への入り口」…その理由は?

さて、子どもの長所を見つけることがなぜ大切なのか? という原点をさらっておきたいと思います。

 

長所を伸ばすと幸せになるから。

 

長所と幸せがどうつながるのか? 「風が吹けば桶屋がもうかる」ではありませんが、話が飛躍して聞こえるでしょうか。

 

私は、長所は「ものごとの入口」だと考えています。それはなぜでしょうか?

 

ここで「自信のある行動」に結びつく長所の大切さについてお話しします。

 

生きる上で「行動する」ことは、重要なキーワードです。人間は動くことで、だれかに何かを与えたり、またどこかで何かをもらったりを繰り返して、よろこびを感じます。それは行動の「成果」であり、行動した人間だけに与えられる「うれしいご褒美」です。

 

いずれ子どもも親から巣立ち、自分から「行動」を起こすようになります。だれかが何かをやってくれるのは、子どもが子どもでいられる時代まで。大人になれば、自分で動いて何かを切りひらかない限り、生きていけません。

 

そのときに大きな味方となってくれるのが長所です。長所を手がかりに始めたことはうまくまわっていくことが多く、子どもの行動を「自信のある行動」に変えてくれるからです。

 

自信のかけらも持たない行き当たりばったりの行動は、いずれ行きづまって、迷路をさまよったのち倒れこむことになるでしょう。

 

いっぽう「自信のある行動」は、少々の荒波にもまれようとへこたれる気配がありません。こんな人は、少々の障害にぶつかっても、好奇心と探求心を武器に難局を乗り越えて、軽やかに道を進んでいくに違いないのです。

 

子どもがさまざまな経験をしながら社会生活を学ぶなかで、長所はその強い突破口となります。だからこそ私は、長所は「ものごとの入口」だと考えているのです。

 

「幸せの入口」「成功への入口」とも言えそうですね。

 

先ほど私は「長所は、その人のワクワクのなかにある」と言いました。

 

人間は本当にワクワクすることであれば、だれに頼まれなくても面白がって続けますから、いずれ人より抜きんでて独自の成果を生みます。

 

大きな花を咲かせる植物も、始まりは小さな一粒の種です。せっせと水をやり、芽が出たらお日さまの光に当てて育てます。

 

人間も同じ。長所の種を見つけたら、まずは認め、せっせと褒めて、その芽を育みましょう。思いもかけぬほどうれしい果実を結ぶ明日が、きっとやってきます。

 

 

石田 勝紀

教育評論家