お子さんの長所を聞くと、たいてい「短所はたくさん思いつくんだけど…」と返ってきます。しかし、「欠点ばかりが目につくイライラ」が生む「短所口撃」は、子どもの才能をつぶしてしまうもの。長所を伸ばしてあげましょう。ここでは長所と短所について、教育評論家の石田勝紀氏が解説します。 ※本記事は、書籍『子どもの長所を伸ばす5つの習慣』(集英社)より一部を抜粋・再編集したものです。
「うちの子は、短所ばかり…」嘆く母親へ向けて教育評論家がズバリ ※画像はイメージです/PIXTA

「それでも長所が見つからない」なら…目の付け所は

それでもやっぱり長所が見つからない? たしかに長所は自分では自覚しにくいですし、子どもと毎日接していても、なかなか長所と呼べる生活習慣が見つからないかもしれません。

 

でもそれは、長所を「抜きんでた学力」や「優れた資質や能力」または「社会的常識をわきまえた人格」といった、むずかしいハードルと結びつけようとするからではないでしょうか?

 

私が考える長所の定義はもっと、言ってしまえばハードルが低いものです。「心が上向きな状態であること」「心がワクワクすること」これがそのまま長所につながると思うのです。

 

では「心が上向きになる」とはどんな状態でしょうか。まずは練習がてら、ママの心が上向きになることを考えてみましょう。

 

「だれかと話すのがすごく楽しい」

「編み物をしていると熱中して時間を忘れる」

「推理小説を読んで犯人捜しに夢中になる」

「韓流サスペンスを観るとドキドキがとまらない」

「お料理って楽しい。家族においしいと言われると幸せ」

 

こんなふうに、ふだん夢中になっていることはありませんか?

 

他人の評価はまったく関係ありませんし、自己採点もしなくてけっこうです。大事なことは、その瞬間、自分の心がどう反応しているか?

 

この一点にだけ正直になってみてください。

 

よそのだれかと比べてはいけません。もし比べたいなら、過去の自分と比べてみてください。

 

「楽しい! 面白い! ワクワクする!」

 

こんなふうにあなたの心が「魂レベル」で躍っているなら、それはあなたが長所エリアの真ん中にいる証拠です。

 

おしゃべり好きなら、それがあなたの長所です。きっとあなたと話すと楽しいと感じるだれかがいるはずです。

 

ネットショッピングにはまったら、みるみる買い物上手になって、家族に喜ばれることでしょう。

 

散歩が好きなら、どこかで思わぬ素敵な人や場所との出会いが待っているかもしれません。

 

編み物に凝っているのなら、たとえ今はマフラーの編み目がバラついていたって、いずれはきれいにそろうほど編み物上手になっているでしょう。

 

大好きなこと、ワクワクすることに夢中になるうち、いつのまにか、それがあなたの愛すべき個性に育ち、長所と呼べるものになっているのではないでしょうか。

 

感覚がつかめましたか?

 

「長所は心が上を向いているところに見つかる」。この大原則に気がつけば、お子さんの長所も見えてくるはずです。