グローバル人材を対象としたキャリアコンサルティングの仕事に携わる中山てつや氏の著書『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』より一部を抜粋・再編集し、職場における諸問題について解説する。
「仕事のできる会社員」が、ことあるごとに上司から説教を受けていたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

 

その後輩が他部門へ異動して間もなく、本人と話す機会があったので、新天地での近況を聞いてみました。すると、返ってきた言葉は、

 

「今度の職場には、とても満足しています」

 

そこで、もう少し詳しく聞いてみると、

 

「新しい上司は、指示も明確で、やるべきことがはっきりしていて、仕事がしやすいんです。それに、特別なことがない限り、定時で帰れるし、何といっても、あの無意味な残業がないんですよ」

 

と、言います。

 

裏返すと、前の上司の指示は、どこか曖昧で、業務の範囲が定まっておらず、おまけに、付き合い残業も多かったということでしょうか。同じ職場での経験から、このコメントはおおむね的を射ていたので、妙に納得してしまいました。

 

その後輩の新しい上司も、実はよく知っている方でしたので、後日会話する機会があった際に、彼の評判を聞いてみました。すると、その上司いわく、

 

「いやあ、彼はとても優秀で、仕事も良くできるので、彼が来てくれて、本当に助かっているんですよ」

 

新しい職場での後輩の評価は、前とは違って、とても良いものになっていました。まさに「正反対」とは、このことです。

「気持ち良く仕事ができたとき」の上司の共通点は?

もうひとつ、今度は、私が会社で、マネージャーとして仕事をしていた時のことです。

 

新しい上司に代わってしばらくしてから、ミーティングをすることになりました。

 

「前の上司からの引き継ぎによると、あなたの評価は極めて悪く、とにかく気をつけるように、とのことだったのですが、一緒に仕事をしてみると、どうしてもそのようには思えない。むしろその逆です。大いに期待していますよ」

 

前の上司の良からぬ評価は、何となく予測していたのですが、無事ご破算となりました(もし部下に明らかな落ち度があれば、反省して改善するのは当然で、これから話を進めていく上での「大前提」となることは、言うまでもありません)。

 

改めて思い返すと、いい仕事ができたときの上司との関係は極めて良好でした。加えて、間違いなく良い評価をしてもらっていました。仕事でお会いした方からも、こんな話を聞いたことがあります。

 

「そういえば、気持ち良く仕事ができたときの上司は、皆いい上司でした。本当にうまくいっていたし、昇格して昇給したのも、そういう時でした。上司に恵まれていた、と言うべきなのでしょうか」