グローバル人材を対象としたキャリアコンサルティングの仕事に携わる中山てつや氏の著書『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』より一部を抜粋・再編集し、職場における諸問題について解説する。
「仕事のできる会社員」が、ことあるごとに上司から説教を受けていたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

職場での評価は「上司」によって180度変わる

人事の本質とは、上に行けば行くほど、その上と合う合わない、つまり、ほとんど好き嫌いです。もし今あなたの評価が高ければ、それは、あなたの上司とうまくいっているからにほかなりません。逆に、あなたの現在の評価が低ければ、それは、ただ単にあなたの上司との相性が良くないというだけのことです。

 

「そのようなことはありません。誰が評価しても、ぶれない仕組みを作って運用していますから」――そんな人事担当者の声も聞こえてきます。

 

実際、人事に関連する様々な制度は、環境の変化と共に日々進化しています。また、できあがった仕組みをきちっと運用するための教育や研修も、頻繁に行われています。その努力たるや、並大抵のものではないでしょう。しかし、会社の中で不可解な現象が起きているのも事実です。

 

以前働いていた会社での出来事です。となりの部署に、新しい部長が着任することになりました。すると、その部署で働く中堅の社員がやってきて、

 

「今度くる部長、実は前にいた部門の上司だったんだ。それで僕は、ここに飛ばされてきたわけ。だから、今度も、間違いなくどこかに飛ばされると思うんだ」

「いくら何でも、すぐに異動することはないでしょ」

 

周囲の者は、皆そう思いました。ところが、予言は見事に的中し、何と半年足らずで、今度は、立地的にもかなり離れた部門に転勤していったのです。

 

その中堅社員は、他のメンバーと比較して、特に仕事上問題があったわけでもなく、協調性に欠けるといったこともなく、ごく普通に、日々の仕事をこなしていた社員です。それが、昔の上司に変わったとたん、また飛ばされることになったのです。

「仕事ができるのに低評価」の社員、部署移動で…

今度は、後輩が転勤することになった時の話です。彼は、与えられた業務を計画的にきちっとこなす、いわゆる仕事のできる社員でした。しかし、上司の評判は芳しくなく、ことあるごとに呼ばれては、説教を受けていました。

 

今でいう、パワハラみたいなものでしょうか。席に戻った時の、「何で僕だけこんな目に遭うんだろう」と言いたげな、悔しさに満ちた表情はよく覚えています。