算数は中学受験の合否を分けるといわれていますが、得意な子もいれば、苦手な子もいます。そこにはどのような違いがあるのでしょうか。灘中合格者数16年連続1位を誇る浜学園の橋本憲一塾長が解説します。※本連載は橋本憲一氏の著書『灘中に合格する子は学力のほかに何を持っているのか: ワンランク上の志望校に受かるための能力と習慣』(ポプラ社)より、一部を抜粋・再編集したものです。
中学受験の重要科目…算数が「得意な子」と「苦手な子」の決定的な差 (※写真はイメージです/PIXTA)

処理スピードの遅さは「知恵」でカバーできる

何につけてもスピードの速い子どもと遅い子どもがいます。食べるのが速い、足が速い、手を動かすのが速い、頭の回転が速い、話すのが速い…と、何が速いのかはさまざまですが、入試に直結する算数の問題を解くスピードや、文章を読むスピードにも「速い・遅い」があります。

 

時間に制限のある模擬試験や入学試験、とりわけ灘中の場合は問題量がかなり多いため、学力があっても「うちの子では処理能力が追いつかないのではないか?」と心配されるご両親がいます。

 

しかし、そこにも知恵を働かせることはできます。算数の場合であれば、最短の解法を使えばいいのです。

 

例えば、旅人算の問題を解くのに、ほかの受験生は線分図を描いてじっくりと考えていくのに対して、グラフを描いて比を使いながら、一般的な解法よりも過程をふたつくらい飛ばして最短の方法で解いていけば、スピードは速くなります。

 

処理スピードを上げるためには、別の解法にも注意をしながら、要領よく工夫して解く大事さも、常に頭に置いて勉強をしてほしいと思います。

 

「自分が正解した問題の解説を見ない」と言う生徒がいますが、これは実にもったいないです。優秀な生徒にありがちな盲点と言えます。自分が正解した問題でも解き方がまどろっこしい場合は、常に解説を見てもっと要領がいい速い解き方はないか、勉強してほしいのです。