灘中合格者数16年連続1位を誇る浜学園の橋本憲一塾長は、入試本番にピークをもっていけず、中学受験に「失敗」してしまう小学6年生が多いといいます。入試本番に向けて春夏と勉強を続けた「能力が高い子ども」ほど陥りやすい、「初秋のスランプ」から脱出する方法を見ていきましょう。※本連載は橋本憲一氏の著書『灘中に合格する子は学力のほかに何を持っているのか: ワンランク上の志望校に受かるための能力と習慣』(ポプラ社)より、一部を抜粋・再編集したものです。
中学受験…能力の高い子ほど陥る「初秋のスランプ」から脱出する方法【名門塾塾長が解説】

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小学生が学力のピークを「入試本番」に合わせる難しさ

「四六時中、勉強することが楽しくてしょうがない」というタイプの子どもでも、小6生の夏をピークに失速してしまい、入試本番で合格を勝ちとれないことがあります。

 

小学生にとって本番にピークを合わせるというのは、なかなか難しいものなのです。

 

子どもがすごく勉強に集中しているときというのは、食事中も移動中もかまわず、とても前向きな状態で勉強漬けになっています。

 

そんな彼らでも睡眠時間は確保しなければならないですから、それを優先すると、1日のなかに勉強以外のことをする余裕はなく、起きているあいだは、学校・塾・家庭学習(課題)・自主的な勉強と、「常に頭を働かせている」ことになります。この集中した状態が続くことで、「解答をつかむスピード」が「瞬時」になってくるのです。

 

ところが、そのピークの時期によっては、勉強の勢いが失速する場合があるのです。

 

小6生の春先から夏にかけての時期をそういう状態で過ごした子どもが、そのまま年明けの入試本番まで走り続けられればいいのですが、1年近くをトップスピードで走り続けるのは容易なことではありません。

 

例えば、体調を崩したり、ちょっとしたことがきっかけで脱線すると、勉強のリズムが崩れ、「過去の勉強の蓄積」に頼ろうとするようになります。

 

問題に対するアイデアや、じっくり考える力というのは、そんなに急になくなるものではありませんが、ここで問題になるのは、まず「精度」です。

 

経験則の積み上げによって得た「パターン能力」の精度というものが、脱線という間を置くことで、短期間のあいだでやはり少し鈍ってしまうのです。