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受験前の追い込み期は「主観的」なアドバイスを
12月になると街も慌ただしく、中学受験生を抱える家庭では、入試1ヵ月前の落ち着かない気持ちが、さらに増幅される感じがあるかもしれません。
特に、灘中などの最難関中を目指す保護者のなかには、小学校どころか、子どもが幼稚園に入園する前から、中学受験の準備を始めたという家庭も珍しくありません。長い時間、子どもと二人三脚を続けているわけですから、翌月に控えた本番を前に、まるで「自分の入試」のように落ち着かない気分になってしまうのもとてもよくわかります。
ですが、受験するのは親ではなく、子どもなのです。年が明ければ、試験会場となる教室で、たった一人で戦わなければなりません。
それを前提に、この12月に心がけていただきたいのは、親としての「主観的な評価」による子どもへの声かけです。そして子どもと向き合うときは、感情的にならず、計画的にアドバイスをしてほしいのです。また、すべてのアドバイスを合格のために「目の前の10点を上げる」ことにつなげてもらいたいと思います。
受験前の追い込み期にあって、偏差値や平均点、成績表といった「客観的な評価」からの子どもへのアドバイスは、塾や講師が全部担っています。しかし、私たちは日々子どもたちと接し、彼らの悩みや頑張りを受け止めながらも主観的な評価はできません。主観的な評価というのは、親にしかできないことなのです。
家庭学習において、12月の入試1ヵ月前になると、ふとボーッとする瞬間を見かけることがあると思います。私も授業やテストで、いままで一度もボーッとすることがなかった子どもが、入試のプレッシャーを感じているのか、疲れからなのか、その瞬間を見かけることがあります。
そんなときは「入試前はそうなる受験生が多いと先生が言っていたからしょうがないと思うけど、自分で乗り越えることができたら、入試ではさらにプラスアルファの得点がとれるようになるそうよ」と強く否定せずにアドバイスしてほしいと願います。
だからぜひ、受験前の追い込み期には「感情論」と「正論」は横に置いて、親は子どもに対して、その子どもがいまの状態よりも、少しでも上向きになるような声かけをしてほしいのです。