協議会は考える…生活保護はいわば「安定収入」
一方、そのような入居者に対して好意的な大家さんもいらっしゃいます。
生活保護はいわば「安定収入」であり、収入が不安定なフリーターよりも家賃の取りっぱぐれが少ないと知っているからです。
入居者を「生活保護を受けているかどうか」ではなく、「しっかりと家賃を払ってくれるかどうか」で見る。これこそがフェアな「偏見のない大家さん像」ではないでしょうか。
私たちが生活保護受給者の入居をお願いすると、「おっ。新規来たか」と喜んでくれます。
そのようなマインドの大家さんが全国に広がれば、人生を悲観し、自殺や一家心中を図る生活困窮者は減る。私はそう確信しています。
「受け入れのリスク」と「空き部屋のリスク」どちらが大きいか
我々と「大阪居住支援ネットワーク協議会」が全力でバックアップする。だから住宅確保要配慮者の受け入れに協力してほしい。
……私たちがいくらこう熱弁しても、「やっぱりリスクを負いたくない」「怖いものは怖い」「嫌なものは嫌」と住宅確保要配慮者を敬遠する大家さんも、少なからずいらっしゃいます。こればかりは仕方ありません。
ただ、「何をリスクととらえるか」は真剣に考えていただきたい。空き家・空き部屋問題は年々加速しています。自分が住んでいるわけでもない物件の家賃を、自身が負担し続けなければならない。そのリスクは年々、増大しているのです。
坂本 慎治
NPO法人生活支援機構ALL 代表理事
大阪居住支援ネットワーク協議会 代表理事
株式会社ロキ 代表取締役
※本連載で紹介している事例はすべて、個人が特定されないよう変更されており、名前は仮名となっています。