伝えたいことを編集する作業…「自分自身の魅せ方」を工夫する
就職や転職をする際に、履歴書を書いた人は多いだろう。これまでの日本では、一般的な形式の履歴書で十分に意味を成していたし、統一されていて便利だった。
だが、僕のような経歴の人間が一般的な履歴書を使うと非常にわかりにくくなる。たとえば、「○年○月××株式会社取締役就任」「○年○月株式会社△△新規事業開発部メンバー参画」などの羅列は、「凸凹な肩書で同時に複数社に入社しているの?」という感覚を持たれ、ぱっと見て何をしている者なのかイメージがしづらい。
だから、「起業のプロ」だということがわかるように、伝えたいことを編集していく作業が重要なのだ。
「仕事のプロ」として、それぞれが個性あふれる人生を歩んでいく時代に突入したのだから、履歴書という形に囚われず自分の特徴が際立つPR方法を模索したほうがよい。履歴書は仕様書のようなもの。そこから、パンフレットに改編して魅力を伝えるべきだ。
家電でいえば、冷蔵庫を買う時、外部寸法や電源ワット数なども大切だが、それだけで「ほしい!」とはならないだろう。
「冷凍庫が大容量で、4人家族の食料もたっぷり保存しておくことができる」とか「魚や肉の鮮度をキープしたまま保存できるから、毎日買い物にいかなくていい」とか「めちゃくちゃおしゃれな部屋に合う冷蔵庫だ」とか、そんな魅力的な見せ方があってこそ購買につながる。
もちろん、冷蔵庫であれば、それを文字で伝えるのではなく、写真で伝えたほうがわかりやすい。口コミや専門家のコメントで、説明をカバーするほうが効果のあることもあるだろう。こうした世の中にあふれているあらゆる「魅せ方」の工夫を、商品やサービスだけでなく、「自分自身」にもすべきなのだ。
イメージしやすいのは、お笑い芸人だ。漫才が得意なのか、一発芸なのか、モノマネなのか、さまざまな個性がある。漫才の中でも、ボケなのかツッコミなのか。どんなボケをするのかなどがキャラとなる。
視聴者もその特徴を理解して、その芸人のファンになる。もっといえば、そうした個性があるからこそテレビ番組にキャスティングされる。
当人の特徴が弱ければ代替可能な存在と見られ、依頼はどんどん価格競争に陥っていく。「10万円は少し高いから、8万円で受けてくれる人にお願いしようか」などダンピング競争に巻き込まれてしまうのだ。
「仕事のプロ」になるからには、「この人の代わりはいない」と魅せる必要があるわけだ。