これまで52の新規事業を立ち上げてきた「起業のプロ」守屋実氏は、「本業が強い大企業ほど新規事業の立ち上げに失敗する」といいます。その要因について見ていきましょう。※本連載は守屋実氏の著書『起業は意志が10割』から一部を抜粋・再編集したものです。
なぜ「本業が強い大企業」ほど「新規事業に失敗」してしまうのか? (※画像はイメージです/PIXTA)

起業のプロが学んだ「新規事業立ち上げ失敗」の共通点

「5勝7敗5分け」の経験は、会社員時代ミスミとエムアウトそれぞれ10年ほど、合計20年間での新規事業への挑戦結果だ。僕の起業人生30年の中でいうと前半にあたる。

 

残念ながら後半の守屋実事務所を立ち上げてからも、いくつも失敗を経験した。自ら代表として起業して失敗したこともあれば、スタートアップや大企業の事業開発部門に参画しての失敗もある。

 

「3つの切り離し、2つの機能、1人の戦士」は、「大企業の社内新規事業の非常勤メンバー」として参画させてもらった時の失敗からの学びだ。この学びの精度は、相当高い。

 

何を言っているのかというと、

 

「大企業の新規事業の失敗の99%は、この学びが当てはまる」

 

からだ。

 

正直な話、大企業での新規事業の成功は簡単なことではない。しかし僕は、大企業のそれを諦めたくないと思っており、大企業が持つ力は甚大だと信じている。

 

たとえば、JR東日本グループが展開している事業として、Suica事業がある。

 

JR東日本グループ沿線にお住まいの方ならば、多くの方がSuicaを持っているだろう。この事業は、明らかにユニコーンである。もちろんJR東日本グループが提供しているカードサービスであり、株式会社Suicaというスタートアップがあるわけではないのだが。

 

同じく、セブン‒イレブン・ジャパンが展開するセブンカフェもユニコーンといえるかもしれない。こちらも株式会社セブンカフェというスタートアップがあるわけではないが。

 

他にも大企業の中のユニコーン的な新規事業は多く存在する。こう考えると、大企業の新規事業が我が国に及ぼす影響は大きく、日本の再びの成長に大企業における新規事業が担う部分は大きい。

 

だから、これからも大企業の社内新規事業の非常勤メンバーとして参画させてもらえる機会を得たいと考えているし、実際に参画をさせてもらっている。

 

では、大企業の新規事業に参画する僕が見つけた失敗の学び「3つの切り離し、2つの機能、1人の戦士」について、説明をしよう。