これまで52の新規事業を立ち上げてきた「起業のプロ」守屋実氏が、自身の経験から新規事業の立ち上げにあたって大企業が陥りやすい失敗について、経験談とともに回避方法を紹介します。※本連載は守屋実氏の著書『起業は意志が10割』から一部を抜粋・再編集したものです。
「まったく数字が伸びないぞ…」起業のプロが犯した痛恨のミス (※画像はイメージです/PIXTA)

20年間新規事業立ち上げに挑戦した結果…5勝7敗5分け

プロとは「専門とする範囲で、生じうる間違いのすべてを経験した人」であると思う。だから、新規事業のプロである僕は、新規事業という分野において、あらゆる間違いを経験した人間だともいえる。

 

残念ながら、それだけの失敗をしながらも、いまだに新たな失敗を重ねてしまってはいるのだが、だからこそ、いくぶんでもその失敗を回避するために、失敗から大いに学ぶようにしている。

 

早速「失敗」というワードを何度も繰り返してみたのだが、この章では、僕の「失敗学」を赤裸々に伝えたい。僕自身も、失敗からたくさんのことを学んだし、読者の方々にも僕の失敗から学ぶことが大いにあると思うからだ。

 

「5勝7敗5分け」は、僕のサラリーマン時代の経験だ。ミスミとエムアウトそれぞれ10年ほど、合計20年間での新規事業への挑戦結果だ。読者の方としては、「え?」と思うかもしれない。そう、じつは僕は負け越している。

 

しかし、だからこそ学びも多かった。ここではその手痛い失敗からの学びをお話ししたい。失敗の原体験は、今から30年近く前までさかのぼる。

 

ミスミで、初めて担当した新規事業で僕はいきなり大失敗をしでかした。当時、機械工業系の専門商社だったミスミが、積極的な新規事業展開に乗り出すことになった。本業の拡大や、本業の隣接地への拡大ではなく、まったくの新規、飛び地への展開を目指したのだ。

 

だが、会社としてそう舵を切ったものの飛び地への展開の知見はない。そこでミスミは、世界のトップコンサルティング会社、マッキンゼー日本支社に協力をあおいだ。察しのいいあなたは、「コンサル会社に丸投げした失敗か」と思ったかもしれない。

 

ところが失敗はそこではなく、もう少し先の部分で僕は転倒した。