20年間新規事業立ち上げに挑戦した結果…5勝7敗5分け
プロとは「専門とする範囲で、生じうる間違いのすべてを経験した人」であると思う。だから、新規事業のプロである僕は、新規事業という分野において、あらゆる間違いを経験した人間だともいえる。
残念ながら、それだけの失敗をしながらも、いまだに新たな失敗を重ねてしまってはいるのだが、だからこそ、いくぶんでもその失敗を回避するために、失敗から大いに学ぶようにしている。
早速「失敗」というワードを何度も繰り返してみたのだが、この章では、僕の「失敗学」を赤裸々に伝えたい。僕自身も、失敗からたくさんのことを学んだし、読者の方々にも僕の失敗から学ぶことが大いにあると思うからだ。
「5勝7敗5分け」は、僕のサラリーマン時代の経験だ。ミスミとエムアウトそれぞれ10年ほど、合計20年間での新規事業への挑戦結果だ。読者の方としては、「え?」と思うかもしれない。そう、じつは僕は負け越している。
しかし、だからこそ学びも多かった。ここではその手痛い失敗からの学びをお話ししたい。失敗の原体験は、今から30年近く前までさかのぼる。
ミスミで、初めて担当した新規事業で僕はいきなり大失敗をしでかした。当時、機械工業系の専門商社だったミスミが、積極的な新規事業展開に乗り出すことになった。本業の拡大や、本業の隣接地への拡大ではなく、まったくの新規、飛び地への展開を目指したのだ。
だが、会社としてそう舵を切ったものの飛び地への展開の知見はない。そこでミスミは、世界のトップコンサルティング会社、マッキンゼー日本支社に協力をあおいだ。察しのいいあなたは、「コンサル会社に丸投げした失敗か」と思ったかもしれない。
ところが失敗はそこではなく、もう少し先の部分で僕は転倒した。