「ひきこもっている中高年」世間のイメージとは異なる実態
ひきこもり、それも、中高年のひきこもり(40歳〜64歳までのひきこもり。以下、「中高年のひきこもり」とします)の数が約61万3000人と報道され、大きな話題となりました。
私はこの約61万3000人のひきこもりは問題ではなく、日本社会が抱える様々な問題の答えであると考えています。この様々な問題を紐解いていくと、ひきこもるということが人間として正しい反応であるとも思えてくるのです。その理由をこれからお伝えしていきたいと思います。
「中高年にもなってひきこもっている」といえば、仕事もしない怠け者で、一日中家でブラブラしていて風呂にも入らず、ときどき親に暴言を吐いたり、暴力をふるったりしているのだろうから、殺人事件を起こす者が出てきても不思議はない……。
多くの人たちがそのようなイメージで、中高年のひきこもりの方たちをとらえているのかもしれません。そして、そのようなイメージでひきこもりをとらえている限り、ひきこもりは自分にはまったく関係のない他人事(ひとごと)にしか感じられないでしょう。
しかし、実は、そのようなイメージ自体が実際のひきこもりの人たちとは大きくかけ離れているのです。
ひきこもっている中高年のなかには、あなたとあまり変わらない「まともな」生活を長く送ってきた方たちも少なくないのです。その現実は、あなたも、そして私も、いつひきこもりになってもおかしくないことを示唆していると言えるでしょう。
たとえば、次にご紹介する2つの事例を見ていただけば、ひきこもりが他人事として片づけられる問題ではないことを感じていただけると思います。