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「一人前の社会人」だった「中高年のひきこもり」
内閣府の中高年のひきこもりに関する実態調査(2018年)では「35歳での無職の経験」が53.2%と半数以上いました。しかも、「働いた経験」という項目では、「正社員として働いたことがある」人が73.9%におよんだのです。
つまり、中高年のひきこもりの方々の多くは社会人として通用していたし、社会人として「まっとうに」生きてきた人たちなのです。ということは、人づきあいでも、人間関係でもふつうにこなしてきた人たちのはずです。
今回の2018年調査ではこのことを示す興味深い数字があります。40歳~64歳の中高年層のひきこもりの方々に、人と対したときの感情や感じ方について質問した項目を見ていきましょう──。
●「自分の欠点や失敗を少しでも悪く言われると、ひどく動揺しますか」という質問に対して、「はい」53.2%、「どちらかといえばいいえ」46.8%と、かなり拮抗している。
●「人といるとバカにされたり、軽く扱われたりしないか、不安になる」という質問への答えは、「はい」「どちらかといえばはい」が48.9%、「どちらかといえばいいえ」51.1%で、ほとんど差がない。
●「初対面の人とすぐに会話できる自信がある」という質問に対し、「はい」「どちらかといえばはい」が44.7%、「いいえ」「どちらかといえばいいえ」が55.3%だった。
これらの数字が表しているのは、中高年のひきこもりのかなりの方々は、個人の資質や性格などが原因でひきこもっているわけではないということです。
では、そのような「一人前の社会人」だった人たちがどのようにしてひきこもってしまうのでしょうか。