オンライン上でコミュニケーションする機会が増えてきました。リアルのコミュニケーションと同様にふるまうと予想外のトラブルになりかねない一方、特性を理解すれば、その場をハンドリングできるなど、興味深い点も多くあるのをご存じでしょうか。心理学の専門家、目白大学名誉教授の渋谷昌三氏が解説します。※本記事は『相手の心が9割わかる 大人のブラック心理学』(日本文芸社)より一部を抜粋・再編集したものです。
LINEのブラック大人テク…「既読スルー」「即レス」「敬語」の心理学 ※画像はイメージです/PIXTA

LINEで即レスする人が抱えている「欲求」を知る

●「既読スルー」の受け取り方は様々だが…

 

個人が気軽に世界中に発信できる、そして世界中の人とやりとりできるSNS、特にライン(LINE)は便利な反面、相手や場合によっては面倒なことも。ラインでは読んだ(開封した)時点で既読の表示が出ます。そのまま返信をしなければ、人によっては「自分のメッセージを無視している」と受け取ることも。「伝わっていることがわかって安心する」で済めばいいのですが、その先のアクションに対する受け取り方が人によって違うためにトラブルが発生しています。

 

例えば、ラインにすぐ返信してくる人。まず常にSNSを気にしていることは間違いありません。スマホが常に側(そば)にないと不安でたまらない。その不安感は一般的に、自分に注目してほしい、人とつながっていたいという気持ちの表れです。承認欲求や孤独感が強いともいえるでしょう。つまり、自分もすぐに返信がほしい。放っておかれるのはイヤだということです。

 

逆に、メッセージの返信を後回しにしたり、メッセージ自体をあまり気にしない人は、我が道を行くタイプであったり、細かいことを気にしない人である場合が多く、また、他人からもそう見られがちです。

 

メッセージをすぐ返す人は、真面目で義理堅い人ということもあります。返さねば失礼にあたる。そう思っているとしたら、自分にメッセージを返さない人は失礼だということにもなります。いずれにしても、ラインメッセージにすぐに返信してくる人には、こちらも早めに反応したほうがよいということです。

 

●自分のスタンスを伝えておこう

 

忙しければ、スタンプだけ返すのもいいでしょう。文章でメッセージを返すと、それに対してまた文章の返信があり、それに対してまた……という無限ループに陥って、どこで切っていいか悩むことになりかねません。

 

いっそ重要な用事などの必要な場合をのぞいては、あえて返事を遅らせるという手もあります。「自分は必要な時以外、あまりSNSを使わない」「マメではない」ということをアピールして「そういう人だ」と認知させるのです。顔を合わせた時に直接言っておくのもいいし、友だちとしてつながる時点で「マメに返信しないけど気にしないで」と伝えておけばベストです。

 

返信がないことで「嫌われたんだ」「他のグループラインで自分の悪口をいっているんだ」などと被害妄想になる、SNS上で話を盛る、虚言癖が出るという人は少なくありません。そういう人は投稿がマメだったり、返信が早かったりするもの。巻き込まれないよう距離を取るのが得策です

 

 「ラインあるある」を心理学で読み解いてみると… 

 

「すぐ返信してしまう」…集中的注意

人は自分にとって必要な情報だけを選択しているもの。好意を寄せている人、気になる情報だけは既読も返信も早くなってしまう。

「相手のペースに合わせて」…ペーシング

ラインの返信速度は相手に合わせる(ペーシング)方法が効果的。そのほうが、徐々に自分のペースに相手を巻き込んでいける。

 

「同じスタンプ買っちゃう」…同調効果

自分と相手の間に共通点があると距離感が縮まる心理効果によって、好きな人と同じスタンプを買ってしまいがち。

 

「すべて敬語になる」…損失回避バイアス

近づきたい相手ほど敬語を使いがち。それは他人に嫌われたくないという心理が働くから。時にタメ口を挟むと〇。

 

「既読スルーされた…」…対応バイアス

既読スルーされると、「自分は嫌われているかも」「相手はだらしない人かも」とネガティブに考えがち。それは状況ではなく本人に原因があると考える対応バイアスが働くから。気にし過ぎないのがベスト。

 

◆大人のブラック心理テク◆

即レスするのは寂しがり屋や義理堅い人

 

 

渋谷 昌三

目白大学名誉教授