元経済産業省産業構造審議会・商品先物取引分科会委員でファイナンシャルプランナーの三次理加氏が執筆した『お米の先物市場活用法』(時事通信出版局)より一部を編集・抜粋し、米商品先物取引で資産を運用する方法について解説します。
新潟県産コシヒカリの「米商品先物取引」で資産を運用する方法 (※写真はイメージです/PIXTA)

<この連載の第1回記事はコチラから>

「米商品先物取引」での損益を計算する方法

3.価格上昇を期待して買ったものの、予想に反して価格が下落

 

次は、損失が発生したケースを考えてみましょう。取引に際しての条件は、先程と同じにします。

 

たとえば、新潟コシの価格上昇を予想し、1万6000円/俵で新規に2枚(25俵×2枚)買ったと仮定します。その後、予想に反して価格が下落し、帳入値段が1万5500円/俵になったとします。

 

この時、値洗い損益は、次の通りとなります。

 

(1万5500円【帳入値段】-1万6000円【買値】)×25倍【倍率】×2枚【枚数】=▲2万5000円【値洗い損】

 

この時、「総額の不足額」を計算してみましょう。

 

・総額の不足額

 

5万円【預り証拠金】-(2万5000円【値洗い損】+1100円【委託手数料】×2【往復】×2枚【枚数】)-1万円【委託証拠金】×2枚【枚数】=600円

※現金授受予定額=値洗い損+委託手数料×往復×枚数

※受入証拠金=預り証拠金-現金授受予定額

 

計算結果が0より大きいため「総額の不足額」は、発生していません。なお、通常であれば、「現金不足額」も計算しますが、このケースでは有価証券を差し入れまたは預託していないため計算しません。

 

その後、さらに価格が下落し、帳入値段が1万5000円/俵になったとします。この時、値洗い損益は、次の通りとなります。

 

(1万5000円【帳入値段】-1万6000円【買値】)×25倍【倍率】×2枚【枚数】=▲5万円【値洗い損】

 

この時、「総額の不足額」を計算してみましょう。

 

・総額の不足額

 

5万円【証拠金】-(5万円【値洗い損】+1100円【預り委託手数料】×2【往復】×2枚【枚数】)-1万円【委託証拠金】×2枚【枚数】=▲2万4400円

 

計算結果が0より小さいため「総額の不足額」が発生しています。この時、取引の継続を希望する場合には、不足額以上の額を入金するか、もしくは、取引を終了するため損失覚悟で決済します。

 

この口座状況で損決済した場合、口座内資金は残らず、逆に不足額を翌営業日正午までの商品先物取引業者が指定する期限までに支払うことになります。このように、商品先物取引は、当初差し入れまたは預託した資金を上回る損失が発生することもありますので、取引の際には注意が必要です。

 

 

三次理加

ファイナンシャルプランナー

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