利益のコントロールは「経費」で行う

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利益のコントロールは「経費」で行う

経営者にとっても、売り上げを動かすことは難しいものです。会社が動かせるのは実質「経費」だけといえるかもしれません。第2回は、比較的コントロール可能な「経費」の知識の重要性について見ていきます。

節税に不可欠な「経費」の知識

企業は毎年1回、決算の期日を設定して「決算書」を作ります。この決算書は企業の業績を正確に示し、財務状況がどうなっているかを誰もがわかるようにする目的を持っています。
 
決算書では、その年の売上(収入)がどの程度あったのかを正確に算出し、その売上を上げるのに必要となった材料費や人件費といった経費(コスト)を算出します。この売上から経費を引いた金額が収支であり、いわゆる「利益」になります。
 
この利益が、実は大きなポイントです。決算書にはざっと5種類の利益があり、それぞれ意味を持っています。そして、この利益をどうコントロールできるかが「節税」が成功するか、失敗するかの分かれ目になるのです。
 
たとえば、単純に売上から経費を差し引いたものは「売上総利益(粗利益)」、そこから販売費とか一般管理費を差し引いた本業で稼いだ利益が「営業利益」になります。そして、企業が本業以外の副業(配当や利子なども含む)で稼いだものをプラスした「経常利益」。さらに、その期だけ特別に発生した収益や費用(損益など)を加算したものが「税引き前利益」になります。
 

 

 

この税引き前利益から税額が決まり、法人税や法人住民税、事業税などを差し引いたものが「当期純利益」になります。
 
これらの中でもっとも重要なのは、「税引き前利益」です。税引き前利益が大きければ、法人税や住民税は高くなり、低く抑えられれば税負担も軽くなります。もともと利益というのは、次のような数式で求められます。
 
収益(売上)- 費用(必要経費)= 利益

 

 

売上を動かすのは難しいだけに・・・

企業経営者にとっての節税とは、この収益(売上)と費用(必要経費)を何とかコントロールして税引き前利益を減らすことが大切になるわけです。税引き前利益を減らして、税金を減らせば「当期純利益」はたくさん残るわけです。当期純利益がたくさん残る経営が、現代社会では求められているといっていいのかもしれません。
 
問題は、その方法です。企業経営者であればわかると思いますが、売上を動かすのは意外と難しいものがあります。税金を徴収する税務署員を描いたテレビドラマでも、売上をごまかしている企業を内偵して暴く姿がよく出てきましたが、やはり売上を調整して低くするのは可能であっても脱税もしくは脱税ぎりぎりになる可能性があります。
 
売上を意図的に少なくすれば「過少申告」で脱税になり、逆に意図的に増やせば「粉飾決算」となり、これも犯罪になります。売上=収入はそう簡単には動かせないということです。
 
そこで、注目されるのが「経費」のコントロールです。会計担当者にとって、意図的に動かすことができるのは「経費」だけといっても過言ではありません。ただし、経費のコントロールも企業の場合はそう簡単にはできません。
 
個人事業者でいわゆる帳簿の提出が義務化されていない白色申告で確定申告する人の中には、確定申告のために経費をいろいろコントロールする人がいますが、帳簿の記載が義務付けられている企業決算では、なかなか難しい面もあります。
 
つまり、経費に対する知識をきちんと身につけて、必要に応じて経費を増やしたり、減らしたりする必要があります。そのためには、日常的に経費に対する知識を身につけておく必要があるということです。

 

 

本連載は、2012年12月19日刊行の書籍『スゴい「節税」』から抜粋したものです。その後の税制改正は反映されておりませんので、ご留意ください。

スゴい「節税」

スゴい「節税」

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

増税、デフレ、円高不況…。中小企業が日本の厳しい経済環境を乗り切るには、いかに売上を伸ばすかということ以上に、今ある利益をいかに残すかに注目することが必要でした。その解決策は節税にアリ。「日々の交際費でコツコツ…

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