タクシーはオンデマンド型サービスに最適な分野
Uberはタクシー業界を創り上げたのではなく、単に乗客とドライバー双方のユーザー・エクスペリエンスを向上させただけである。LyftやPickMe等の他のタクシー配車アプリが成功したことを考えると、タクシー業界はこのビジネスモデルに適しているようだ。今からタクシー分野へ入り込もうとしても余地は限られてしまっているが、スリランカ発のPickMeが成功したことは、他のオンデマンド型スタートアップ企業に影響を与え、「○○版Uber」の成功を目指す動きを促進させるだろう。
成功の決め手は何だろうか。自社のオンデマンド型サービスをできるだけ高級な市場に売ろうとするスタートアップ企業は失敗する傾向がある。オンデマンド型サービスの主なターゲットは、時間はないがお金のあるスリランカ人としているが、彼らは自分たちでメイドを雇う方が簡単なため、雑用やハウスクリーニングのサービスを提供するオンデマンド型サービスは必要とされないだろう。
日常的に利用が見込まれるサービス・品物が狙い目
スリランカのサプライチェーンは、生鮮食品を筆頭に効率の悪さで有名だ。ここに可能性があるのではないだろうか。つまり中間業者を排除し、販売者と消費者を直接結び付けるサービスが人気になる可能性は高い。実際、新鮮な野菜や果物を要望に応じて配達するサービスはインドで人気がある。
ただ注意したいのは、インドではスリランカの都市に比べるとスーパーマーケットが圧倒的に少なく、またスーパーでの買い物にも値段交渉があるため不便が多い。スリランカの都市の消費者は、スーパーで買い物をする際に、そのような不快な経験をすることはあまりない。
成功しているオンデマンド型ビジネスは、奇抜な領域にはないことも考慮すべきである。顧客獲得にかけるコストを最大限に回収するためには、日常的に繰り返し購入してもらえるサービスや品物を対象にする必要がある。十分に大きな消費者層にアピールできる最適な領域を選択することが、Uber型のアプリで成功を夢見るスリランカのスタートアップ企業が考えなくてはならない、最も大きな課題だろう。