2021年度の医学部入試は、「大学入試センター試験から大学入試共通テストへの変更」「新型コロナウイルス感染症対策による日程の変更」など変動要因が少なくありません。本連載では、これまでに4500人以上もの受験生を医学部合格へと導いた予備校講師・可児良友氏の著書『2022年度用 「医学部受験」を決めたらまず読む本 ―志望校決定から学習計画の立て方まで』(時事通信社)の中から一部を抜粋し、医学部合格に至る「効率のいい道筋」を紹介します。今回は2021年度から変わる医学部入試についてみていきましょう。

英語ではリスニングがより重要に

共通テストの実施に伴い、多くの大学でリスニングの配点が今までより高くなります。今まで、センター試験では、筆記:リスニング=200:50という配点だったのに対し、共通テストではリーディング:リスニング=100:100とリスニングの配点比率を高くしているからです。これをもとに各大学が、独自に配点比率を決めるのですが、全国の国公立50大学のうち、今までどおりの配点比率の医学部は半分以下の21大学にとどまり、半数以上の大学でリスニングの配点比率が高くなっています。ですから、志望大学の配点比率をチェックし、リスニングの配点比率が高ければ、よりしっかりとしたリスニング対策が必要となります。

 

また、今まで、センター試験のリスニングの点数を合否判定に利用しなかった東京大学は7:3、滋賀医科大学は4:1の比率でリスニングの点数を利用するようになります。逆に、愛媛大学は9:1とリスニングの配点比率を下げています。共通テストのリスニングのできが出願校の選定にも影響を与えそうです。

 

 
 

「統合型選抜」「学校推薦型選抜」が拡大

新入試制度では、入試方式の名称が変わります。一般入試は「一般選抜」、AO入試は「総合型選抜」、推薦入試は「学校推薦型選抜」へ変更となります。つまり「入学試験」から「選抜試験」へと変わることで、大学が求める人材をしっかり選抜しようという意図が読み取れます。

 

総合型選抜、学校推薦型選抜では、今まで以上に「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」といった学力も問われるようになります。逆に、一般選抜では学力の評価だけでなく「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」をしっかり評価するため、面接試験や志望理由書、調査書をより重視する傾向になります。

 

さらに国公立大学では、総合型選抜、学校推薦型選抜の定員を全定員の30%を目標に拡大するとしています。2020年度入試での医学部医学科のAO・推薦入試の定員は約20%なので、この定員がさらに増えることになりそうです。

 

面接試験の方法も個人面接、集団面接、集団討論、MMI(multipule mini interview)と多様化しています。MMIとは特定のテーマの個人面接を複数回、面接官およびテーマを変えて実施する形式で、すでに国公立大学では北海道大学、東北大学、千葉大学、横浜市立大学、神戸大学などが、私立大学でも東京慈恵会医科大学、東邦大学、藤田医科大学などが実施しており、人物評価をより重視する傾向にあるようです。

 

共通テストとは直接関係はありませんが、2022年度以降、医学部の定員は減少する可能性があります。国は「新医師確保対策」「緊急医師確保対策」「経済財政改革の基本方針」「新成長戦略」などを通じて医師不足を改善するために、医学部の定員を増やしてきました。2007年度7,625名だった定員が、2019年度には9,420名へと約1,800名も定員が増加しました。1大学あたりの医学部定員が約100名であることを考えると、18大学分もの定員増が行われてきました。

 

しかし、この増員のうち1,011名分は2019年度までの期限つき臨時増員なので、この分が減少する可能性があるのです。2021年度までは暫定的に現状の定員がほぼ維持される方向ですが、2022年度以降は医師の働き方や需給状況にもとづいて、方針を見直すことになっているからです。

 

これとあわせて、先ほど述べた総合型選抜、学校推薦型選抜の定員拡大によって一般選抜の枠も縮小されるため、医学部入試はますます狭き門となってしまうのです。

 

 
 

 

 

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2023年度用 「医学部受験」を決めたらまず読む本

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可児 良友

時事通信社

大学入試共通テスト実施2年目に当たる2022年度の医学部入試は、引き続き新型コロナウイルス感染症対策なども注意が必要です。 本書では、15年間で6,944人を合格させた、医系専門予備校合格実績No.1の「メディカルラボ」のカ…

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