アジア・オセアニアリートは堅調推移
■足元のアジア・オセアニアのリート市場は総じて上昇しました。9月7日現在、アジア・パシフィック・リート指数(除く日本、現地通貨ベース)は7月末比+3.9%、香港は同+4.3%、シンガポールは同+1.0%、オーストラリアは同+6.0%となりました。
■決算などでコロナ禍における収益状況の把握が進んだことによって、過度な業績懸念が解消に向かい堅調に推移しました。オーストラリアでは、決算発表で市場予想以上に良好な内容となった銘柄群が大幅に上昇しました。
■その中でもシンガポールは、7月に好決算で上昇した物流施設等の産業関連リートに利益確定売りが出たことが重石になりました。
景気の回復が支えるリート市場の上昇
■アジア・オセアニア地域は、新型コロナ感染拡大の影響で実体経済もリート価格も大きな影響を受けました。春以降は、新型コロナ感染の落ち着きや積極的な経済政策によって、まちまちながら景気が回復しつつあり、リート市場を支える要因となっています。たとえば、シンガポールでは7月の小売売上高が前月比+27.4%と回復し、前年比でもマイナス幅が縮小してきています。同様の傾向はオーストラリアでもみることができます。
感染状況により選別進む、コロナ抑制策が機能している市場に注目
■リート市場はこれまで、コロナ禍の影響によって世界的に同じような動きがみられていました。しかし、国ごとに感染状況が異なってきており、同じセクターであっても国によって動きが異なってきています。そのような環境下、今後は経済のファンダメンタルズからのセクター評価に加え、各国の感染状況と政府の対応が注目されると考えます。
■シンガポールは、政府の徹底した感染対策が国の相対的な評価を高めており、商業施設、ホテルのリートは底堅く推移すると予想します。オーストラリアは、決算を織り込み一旦材料出尽くしとみられますが、成長期待の高い銘柄への評価は持続すると見込まれます。旺盛なEコマース需要を背景に、効率的な大型物流施設の開発ニーズは続くとみられます。香港リート市場は、8月28日に政府がソーシャル・ディスタンス規定を緩和した後の動向をみながらの推移を予想しています。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『アジア・オセアニアのリート市場は上昇』を参照)。
(2020年9月9日)
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