NYダウは2万8,000米ドル台で足踏み
ハイテク主導の流れに追随できず
■27日の米国株式市場は、NASDAQ総合指数が前日比▲0.3%でしたが、S&P500種指数は同+0.2%で高値を更新しました。ダウ工業株30種平均(NYダウ)も同+0.6%ですが、高値にはまだ届いていません。NYダウはハイテク株主導の上昇に追随できていないためです。こうした中、NYダウの銘柄入れ替えが発表されました。
注目される銘柄入れ替え
3銘柄を入れ替え
■S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズは24日、NYダウにセールスフォース・ドットコム、アムジェン、ハネウェル・インターナショナルを採用し、エクソンモービル、ファイザー、レイセオン・テクノロジーズを除外すると発表しました。31日の取引開始に合わせて実施されます。
■銘柄入れ替えはアップルが31日付で株式分割(1株を4株に)を実施することの影響です。単純平均で算出されるNYダウは、アップルの株価の寄与度がこれまでの1/4に低下することを意味します。ちなみに、年初安値から直近までの戻り率(53%)の約2割がアップルによるものです。アップルの株式分割によるIT銘柄の寄与度の低下を抑えるために、セールスフォース・ドットコムを加えたようです。
■他の2銘柄は米国の産業分野の実態を反映した指数にするために、業種内での重複を除き、新分野の企業を追加した、としています。
ニューエコノミー株の追加で今後の上昇に期待
■今回の銘柄入れ替えは直接的にはアップルの株式分割でも、合わせてオールドエコノミー株からニューエコノミー株に入れ替えており、指数の新陳代謝が進みそうです。セールスフォース・ドットコムは1999年にNY証券取引所に上場した若い企業で顧客情報管理(CRM)に強みがあります。アムジェンはバイオ製薬会社で、ハネウェル・インターナショナルは航空宇宙製品も手掛ける総合テクノロジー企業です。こうした現在のアメリカ産業の先端を象徴する企業を加えたことで、NYダウのイメージは新時代に入ったと言えそうです。米国経済の回復が米国株式市場に追い風となっていますが、今回の銘柄入れ替えで、NYダウがNASDAQ総合指数、S&P500種指数を追随することになると期待されます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『バージョンアップするNYダウ』を参照)。
(2020年8月28日)
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