「情報格差をつける側」になり、ビジネスで勝利する
お金、距離、モノなど、自分のいる環境や住む場所によって、自分と他者の間には、否応なしに格差が発生します。格差があるから欲求が生まれ、欲求があるから、それを埋めるビジネスが求められる余地が生まれます。
そもそも、副業や起業をして儲けたいと思う人間の気持ちも経済格差あってのものですし、それを悪として横並びを目指す共産主義がうまくいかなかったのも、「自分だけはもっと稼ぎたい」と思ってしまう人間の欲望があるからなのでしょう。
では、そんな格差が、なぜビジネスに重要なのでしょうか。
実は、自分の棚卸しをしてみて、「好き」で「得意」で「儲かりそう」と思える何かが見つかれば、正直、格差はそこまで考えなくて大丈夫です。ただ、好きだけどそこまで得意ではなさそう、とか、自分にできそうな方向性、やりたい方向性がいくつかある中で、決め手に迷うときは、その選択肢の中の格差に注目してみてください。
要するに、格差とは、「儲かりそうかどうか」を考えるときに、非常に重要になるファクターなのです。極端な話、絶対に儲かりそうなビジネスがあったら、それで成功すれば、より整った状況から好きなこと、得意なことにチャレンジできるので、好き嫌い、得意不得意は考えずに、まずやってみてしまうのもアリです。
――と前置きしておいて何ですが、最初は、例外的な格差について書いていきます。それが「情報格差」です。
詳しくは書籍『働きながら小さく始めて大きく稼ぐ 0円起業』にて解説していますが、ビジネスで勝つための常套手段の一つが「真似る」ことです。もちろん、著作権法違反をしろ、と言いたいわけではなく、成功者の考え方や行動をなぞる、という意味です。これは私が言い出した突飛な話ではなく、たくさんの経営者やビジネス書作家なども言っていることです。ビジネス書をよく読む方からすれば、当たり前の話かもしれません。
でも、そもそも、みんながみんなやっていることだったら、陳腐化してしまうので、成功するのは難しいはずです。つまり、真似ることで成功できるというのは――質の高い参照元から、雑なモノマネみたいなレベルではなく、徹底的に真似ることが大前提ですが――、その情報を知らない人がまだまだたくさんいるから、情報格差があるからなのです。
ここで、自分が知らない側になってしまうと、副業・起業して成功するのは難しいです。逆に言うと、「0円起業」で成功したければ、日頃から、平均値から見て、常により「知っている側」でいられるだけのインプット習慣を確立し、情報格差で他の人に差をつけられる人間になりたいところです。
おそらく、質の高い発信者のSNSなどは、みんな見ていて当たり前、といった感じがするので、他の人が注目していないもの……、あえて購読者が減り続けているとも言われている新聞を意識的に読むというのも「格差」をつける習慣かもしれません。
また私は気になる本は、すぐに購入しています。経営者としてある程度経験値を積み重ねてきたことで、読書の必要性を肌感覚で感じているからです。乱読しながらアイデアのヒントを得ています。
みなさんも、「0円起業」のヒントになる情報に出会えるような、自分なりのインプット習慣を身につけてみてください。
ウェブサイト利用者にも「格差」があることを把握する
ここからは、実際にビジネスに利用できる格差について見ていきましょう。まずは「経済格差」からです。
経済格差は度が過ぎると、持たざるものが貧困状態になるレベルになってしまうと問題ですし、実際に、そうなってしまっているのが現状だとも思います。それを活用する、というのは、あまりいいイメージがないかもしれませんが、その点については本項の最後で触れます。
個々人、ないしは企業別の経済格差があることで、同じような案件でも、安くても引き受けてくれる人もいれば、そうでない人もいます。発注側も、高いギャランティで仕事を振ってくれる企業もあれば、安い金額でお願いしますという企業もあります。
この金額のブレは、自分でビジネスをするとき、大きくモノを言います。作業を外注したいとき、アウトソーシングサービスなどを見てみると、同じ内容でも、かなり受注金額に差があるのです。
もちろん、その金額が実力の差であることもまああるので、常に安い外注さんを探すべき、という話ではないのですが、反対に実力が高いのに、相場より安い金額で受けてくれる方が見つかることもあります(ちなみに、フリーランスが安い金額で仕事を募集する理由は経済力以外にも考えられますが、話をシンプルにするため、ここでは触れません)。
このようなブレの存在を理解していれば、外注さんにお願いしたい「作業」があるときの出費を効率よく圧縮できます。また、書籍をお読みいただきたいのですが、この発注側、受注側双方に存在する金額のブレを利用して、10万円の案件を、5万円で受注するフリーランスに外注して、差額を利益とするビジネスをすることも不可能ではありません。
どうしても私たちは、物事を考えるときに自分基準で考えてしまいがちです。しかし、当たり前の話ですが世界は広く、アウトソーシングサービスを眺めているだけでも、「なぜこんなに安く引き受けてくれるのだろうか?」と思ってしまうような登録者の方や、「これ、明らかに安くできるのに」と感じられる高額案件が見つかることがあります。
一度、アウトソーシングサービスのサイトを覗いてみてください。思わぬ発見があるはずです。画一的に見えるウェブサイトの利用者に、同じ人は一人としておらず、大小さまざまな経済格差があることを理解した上で、ビジネスをすることが大切です。
また、今現在、経済格差をつけられている側の方にとっても、どんな層の人たちが自分より経済力を多く持っているのか、反対に、自分よりも経済力のないのはどんな人たちなのか――といった要素を意識することが大切です。なぜなら、副業や起業をするときは、自分にできることを棚卸しした後に、その能力を必要としてくれる対象がどこかを考える必要があるからです。
基本的には、どんな人相手にも求められる事業はそう多くありません。多くの場合、ビジネスはある程度の対象を絞り込んでやることになります。
たとえば、副業とは少し別の話になりますが、ラーメンをつくるスキルがあるとして、一杯5千円の超高級ラーメンを出そうとするなら富裕層相手の商売になりますし、一杯500円以下のお得なラーメンを出そうとするなら、反対に富裕層は顧客になりません。
ドラッカーの言う「顧客の創造」を実現するためにも、潜在顧客がいそうな場所を見極める必要があります。そして、そのためには、自分の立ち位置を正確に把握しないといけません。言い換えるなら、自分が上のほうにいようと、下のほうにいようと、経済格差を理解し、把握することも、自分の棚卸しの確認項目の一つなのです。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」と言いますが、逆に言えば、自分のことをちゃんと理解できていない人が、ビジネスで成功することはできないというわけです。
今、経済力があまりない方が、自分を経済格差にさらされている側だと位置づけるのは、正直辛いことかもしれません。でも、そのこと自体は、お金をあまりかけずにできる「0円起業」においては、大した問題ではないので気にすることはないのです。
あくまで大切なのは、現時点での自分をマッピングすることです。その位置が低かったら、「これから上に昇る一方だ」と自分の成り上がりを楽しむくらいの心持ちでいてください。
最後に、経済格差を活用することについて。そのこと自体は搾取の構造に見えるかもしれませんが、たとえば他の人よりも安い金額で仕事を募集している方がいたとして、アウトソーシングサービスで設定している金額は、上からの押しつけなどもない、本人が設定したものなので、それがどれだけ「安い」と感じる金額でも、利用する側は素直にその金額でお願いすればいいと思います。
その上で、仕事をしっかりと遂行してくれて、長くお付き合いしたい方だと思ったら、直接その方とつながって報酬の増額を申し出ることだってできます。
個人的には、まず自分が成功し、儲けることが大切だと思います。成功すれば成功するだけ、できることは増えていきます。極端な話、何兆円という財産をつくることができれば、第二のビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団を設立することだってできます。
自分が力を持てば、経済格差を是正し、世界平和に貢献できる可能性もあるのですから、とりあえずは、自分にできるベストを尽くすことが大切だと思います。
【CULUM】市場価値、価格は僕らが決めることではない
市場での価値は自分でわかるものではないことに早く気づけるかどうかが、とても重要です。たとえば、弊社でつくった商材が24800円で売れなかったとしても、19800円なら売れたかもしれませんし、あるいは逆に99800円でも買ってくれる方もいるかもしれません。
このように結局は、「商品に対して価値を感じてくれる人がいれば、こちらが値付けした価格でも納得して買ってくれますし、逆にそれで買ってもらえないようであれば、その商品にそれだけの価値がなかっただけのこと」です。
本連載の書籍(『働きながら小さく始めて大きく稼ぐ 0円起業』)だってそうです。出版社の決まりなのか1480円ですが、数万円の価値はある情報を入れていると自負しています。でも、1480円。不思議だなあと思います。
結局は、価値・価格とは、市場に出してみないとわからないものなのです。
ピカソの絵や、最近では有名になったバスキアの絵画など、門外漢からすると、100万円なのか1億円なのか、さっぱりわかりません。でも、それでも買うという人がいるから、そこに価値が生まれるものだと思います。
今の時代はメルカリやヤフオク、note、ツイッター、インスタグラム、フェイスブック、なんでも自分の意志で発言・取引ができるようになりました。自分のつくったコンテンツ、商品などをまずは、「自分の言い値」で市場に出してみることから始めてみると、意外な反応があるかもしれません。
株式会社GEAR 代表取締役
有薗 隼人