「人生100年時代」という考え方が一般化してきた昨今。老後2000万円問題も追い風となり、資産形成の方法に不安を抱く人も多い。収入アップのための「起業」や「副業」が注目されてはいるものの、リスクを恐れ、なかなか一歩を踏み出せないのが現状だ。そこで本連載では、株式会社GEAR代表取締役・有薗隼人氏の書籍『働きながら小さく始めて大きく稼ぐ 0円起業』(クロスメディア・パブリッシング)より一部を抜粋し、次世代の働き方について解説していく。

「会社員」という職業がなくなる時代がくる

本連載では、「誰でも起業家になれる」ということを伝えていきます。初回は、「誰もが起業家になるべき」という話をさせていただきます。

 

これからの時代は、なれる/なれない、という問題ではなく、(起業までするかはともかく)何かしらの副業を絶対にやっておくべきだと私は考えています。

 

これから、私たちの「働き方」は、根本的に変わっていきます。AIが進歩したら、これまで多くの会社員やアルバイトがやってきた仕事の多くが自動化されると言われていますが、2019年、なかなか衝撃的なデータが発表されました。

 

NTT、NTTデータ、クニエの3社が、2018年7月から2019年3月まで、横浜市役所と共同で実施した作業の自動化(RPA=Robotic Process Automation)の実験を行ったところ、RPAを試験導入した業務で、平均84.9%、最大で99.1%の作業時間削減効果が確認されたそうです。

 

よく言われているのは、機械が人間の仕事を代替することで、私たちは企画や商品の内容を考えるなど、クリエイティブな、人間にしかできない仕事に集中できる、というものです。これは、その通りだと思います。

 

でも、この実験結果のような作業時間削減が日本中で実現したら(全ての仕事に当てはまるものとは限りませんが)、未来のオフィスは、私たちのイメージする一般的なオフィスの風景とは、まったく違うものになる気がしませんか? たとえば、9割の社員やアルバイトの手が空いたとして、それだけの人員が、全員クリエイティブな仕事を割り当てられると思いますか? 私は正直、難しい気がします。

 

「クリエイティブな仕事」をザックリ定義してしまうと、「○○をする」というタスクの、〝○○〟が何かを考え、決定し、細部を詰めていく仕事だと思います。「船頭多くして船山に登る」ということわざがあるように、企画の根本的な部分を考える、創造性の中心を担う役割は、基本的に一人か少人数だと思います。

 

たとえばデザインなど、つくること自体がクリエイティブな仕事で、たくさんの人が関わる大きな案件があったとしても、トップにクリエイティブ・ディレクターがいて、その人が大枠を考え、それを実現するために、たくさんのデザイナーなどが働く――という形のはず。それに、仮にクリエイティブな仕事に多くの人手が求められたとしても、事務処理能力には長けているけど、クリエイティブは苦手、という人もいるでしょう。そんな未来で、今までと同じように、会社で働き続け、給料をもらい続けることは、自動化が進んだ未来のオフィスでは、かなりレベルの高い話だと思います。

 

このように考えると、「会社員」という職種自体が、なくなる可能性もあるでしょう。また、なくならない場合も、特別な職業になる可能性は高いと思います。未来のオフィスには、「自分にできること、機械に代替できないこと」を考え、実践できる人しか求められず、「適当にやって給料がもらえればいい」と考える人の居場所はなくなるのではないでしょうか。

 

そうなったら、将来、クリエイティブな人材であふれ、逆に、単なる「会社員」が憧れの職業となり、「大人になったらサラリーマンになりたい」と、小さな子どもが目を輝かせる……。そんな時代が来るのかもしれません。

 

令和時代、資産形成の方法は?
令和時代、資産形成の方法は?

自分の意思と「外注思考」で人生を切り拓く

一見、ネガティブな話から始まったように感じられるかもしれません。今会社員の方が、「今後会社員は特別な職業になる」と言われたら、不安に思うかもしれませんね。でも、私はむしろ、チャンスだと考えています。

 

会社員が減ると、必然的に、フリーランスや個人事業主が増えることになります。会社員の立場から見ると、フリーランスは単なる「組織に所属せずに働いている人」に見えるかもしれないですが、違うと思います。フリーランスとは、私たちがやるべきこと、やりたいことを、代わりに請け負ってくれる人たちなはずです。

 

ここで、みなさんにお伝えしたいのが、〝外注思考〟という考え方です。

 

もしかしたら、みなさんも社内で手が足りずに、仕事の一部を他者やフリーランスに外注したことがあるかもしれません。このように、「外注」は他者に仕事を頼むときに使われることが多い言葉ですが、私は「自分でやれること」に対して、「代替手段を用いること」を、全て「外注」と考えています。

 

コンビニでご飯を買うのも、私の自宅から、歩くと2時間くらいかかる渋谷に電車で行くのも、洗濯板でゴシゴシする代わりに、全自動洗濯機で洗濯するのも、全部外注です。洗濯後は、乾燥機にも外注できるとなおよいですよね。人類の進歩の歴史は、「外注できること」を増やしていく歴史であったと言っても過言ではありません。

 

外注には基本的にお金がかかります。だから、「全て外注すればいい」とまでは思いません。交通手段なら、飛行機や新幹線、タクシーに普通電車といったように、同じジャンルの外注でも、速度や質によって値段もさまざまです。

 

とはいえ、基本的には、金銭的な問題がなければ、現時点でも大抵の物事は外注できる社会です。そして、今後は、さらに増えていくでしょう。

 

VRが進化すれば、AIと本気で恋愛したり、実質上の結婚生活を送ったりと、恋愛すら外注可能になるかもしれません。そして、「狭義の外注」とも言える仕事の外注も、すでにかなりの範囲で可能です。

 

今後、会社員が減り、フリーランスが増えていけば、その選択肢はどんどん広がっていきます。自分の仕事の一部を、助けてくれる人の選択肢が増えるわけです。これは、会社やアルバイトでやる仕事に限った話ではなく、副業にも言える話です。

 

私が起業して痛感したのは、お金を大きく増やすには、「お金でお金を生む」しかない、ということです。自分の労働力や時間を使って得られるお金には、天才起業家でもない限り、限界があります。

 

私は会社員時代、営業マンとして、年間で約7000万円の売上を立てていましたが、給料は600万円ほどでした。悪い金額とは思いませんが、もっともらえてもよいのでは、といつも思っていました。そこから給料が上がっても、せいぜい1000万円くらいでしょうか。仮に社長になっても数千万円。外資系企業の超一流のエリートでも同じくらいでしょう。要するに、私たちがそれ以上の年収を稼ごうとするなら、お金でお金を生むしかないと思うのです。

 

――と言っても、だから株式投資をやろう、と言いたいわけではありません。投資も手段の一つですが、私が言いたいのは、「仕事の外注」も「お金でお金を生む」手段である、ということです。

 

これから、良くも悪くも会社員は減り、仕事の外注の選択肢がどんどん増えていくはずです。これを、活用しない手はありません。また、そもそも外注思考で行動できないと、今後は色々と厳しい時代になっていくような気がしています。

 

私自身はチャンスと捉えますが、チャンスとピンチは背中合わせ。先ほど「良くも悪くも」と書いたように、起業のようなチャレンジを好まない人も、AIの進化によって職を失う未来が来るかもしれません。

 

私はむしろ、ここまでお読みいただき、「そんなの嫌だな。ずっと今の会社がいいな」と感じる方にこそ、お金でお金を生む手段を、今のうちに模索してほしいと思っています。

 

「働き方改革」が話題になりましたが、政府が副業禁止の企業に、副業解禁を奨励しているのも、「本業だけで生きていけない時代」が到来しつつあるからだと思いませんか? 

 

そして、そんな時代を乗り切るには、今から備えるしかありません。実際にそんな時代が訪れてから、初めてフリーランスとしての生き方を模索しても、先行者たちに追いつくのは難しいでしょう。

 

でも、少なくとも現時点では、機械で代替可能な仕事でも、人に任せ、給料を払ってくれる企業や職場がたくさんあります。別に、会社を辞めてチャレンジする必要もありません。働きながら、小さくビジネスを始めて、お金でお金を生む手段を探っていきましょう。

 

考え方によっては、今は給料という保険を得ながら、フリーランスとしての経験値を積める最後の時代かもしれません。まだ自社が副業禁止という方も、会社バレしたときの責任は負えませんが、ビジネスネームでこっそりやってしまったほうがいいと思います。会社は、あなたの人生の責任をとってくれません。

 

副業に挑戦し、それで成功したら、会社を辞めて、収入額の天井がない世界にチャレンジするもよし、ダブルワークを続けるもよし。逆に、全然うまくいかず、「自分には会社勤め以外は難しい」と感じることもあるかもしれませんが、そうなったらそうなったで、会社で生き残れるように、全力で取り組むきっかけにもなります。

 

要するに、選択肢は「会社員であることを全力で維持する」でもいいんです。肝心なのは、自分で考え、決断することです。働き方が劇的に変わる未来において、自分の人生は、自らの意思で切り拓くしかありません。

 

AIが淘汰するのは、「考えない人」です。今、将来のことを考え、起業や副業について考えるみなさんは「考えて行動できる」方々です。「考えて行動できる人」は、たとえ今、機械が代替可能な仕事に従事していても、自動化が進む社会で、自分がどうすれば稼ぎ続けられるかを考え、対策を講じられるはずです。もちろん、その対策としては、働きながら0円起業して、小さく始めるのがおすすめです。そして、小さなビジネスを大きく育てるには、外注思考を駆使して、お金でお金を生むことが必要不可欠です。

 

【CULUM】頭のフタを外す

 

このメッセージが、本連載で一番伝えたいことと言っても過言ではありません。

 

私も、短いながら会社勤めを2年半やっていたので、思考が凝り固まって、なかなかこの発想に至るのには苦戦したのですが、「お給料があなたの価値を決めている」のではありません。

 

私は会社員時代にそこそこいいお給料をもらっていましたが、それでも絶えず「足りない」と思っていました。その結果、自分でやるという道を選ぶのですが、自分でやっていくと上限はありません。毎月30万円だったお給料が、自分でやれば200万円、300万円稼げることもビジネスではごく自然に起こり得ます。

 

私がアフィリエイトに出会ったときに知り合ったすごい経営者は一人月収5000万とか、〝わけのわからない金額〟を稼いでいましたが、ネットビジネスの世界では当たり前にあり得ることです。

 

サラリーマンをやっていると、どうしても今の自分のお給料がイコール今の自分の能力、と思ってしまうことがあります。でも、これは全然違います。それはなぜか?

 

お給料は、会社が勝手に決めているだけに過ぎないからです。本当は、自分の能力にもっと適した場所に行けば、月に1000万円稼げるかもしれないし、あるいは1億円になるかもしれません。自分で自分の頭にフタをし、「そんなの無理だ」と思ってしまうことが、一番モッタイナイ思考です。そんな「頭のフタ」は、一刻も早く外してしまいましょう。

 

株式会社GEAR 代表取締役社長

有薗 隼人

 

働きながら小さく始めて大きく稼ぐ 0円起業

働きながら小さく始めて大きく稼ぐ 0円起業

有薗 隼人

クロスメディア・パブリッシング

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