「人生100年時代」という考え方が一般化してきた昨今。老後2000万円問題も追い風となり、資産形成の方法に不安を抱く人も多い。収入アップのための「起業」や「副業」が注目されてはいるものの、リスクを恐れ、なかなか一歩を踏み出せないのが現状だ。そこで本連載では、株式会社GEAR代表取締役・有薗隼人氏の書籍『働きながら小さく始めて大きく稼ぐ 0円起業』(クロスメディア・パブリッシング)より一部を抜粋し、次世代の働き方について解説していく。

高度経済成長期の「仕事観」は時代遅れ

◆〝兵隊思考〟からの脱却。「仕事」は「楽しい」からがんばれる

 

みなさんに意識してほしいのが、〝兵隊思考〟からの脱却です。私は、昔から独立してビジネスをやりたい、と思っていたのですが、もう一つ、教師という仕事にも憧れがあり、大学は教育学科に通っていました。そこで学んだ、日本の教育制度の変遷が、強く印象に残っています。

 

大前提として、男女不平等、教育の機会の不均等など、現代とは比べものにならないほど問題も多かったとは思います。ただ、第二次世界大戦後にGHQが「6・3・3制」を導入するまでの日本の教育制度は、それを最大限享受できる人間にとっては、飛び級があるなど、柔軟性のあるシステムでした。医師でもあった文豪・森鴎外は、第一大学区医学校(現在の東京大学医学部)本科を19歳で卒業しています。

 

それが、四角四面なシステムになってしまったことで、子どもが型にはめられる格好になり、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツのような、イノベーターが生まれにくい土壌になってしまったのだと思います。

 

もちろん、このシステムは悪い面だけではありません。「型にはめる」と言うと、良くないイメージもあるかもしれませんが、多くの人を、ある程度同じレベルまで成長させるのには適しています。

 

会社のためにバリバリ働いてくれる「モーレツ社員」がたくさんいて、平均点の高い商品を大量生産すれば、世界で勝てた時代には合っていました。高度経済成長の立役者とも言えます。

 

私の言う〝兵隊思考〟とは、この時代に育まれた考え方です。仕事で言うなら、与えられた仕事を忠実に、ある程度の高い質でこなすスタイルです。「兵隊」という言葉のインパクトが強すぎるかもしれませんし、他に適した言葉もあるかもしれませんが、私は「与えられた司令を唯々諾々と受け入れる」立場をそう定義しています。

 

これは、あえて良くない言い方をすると、働きアリのような働き方です。忠実に、するべきことをできるのも、大事なことです。実際、日本の教育水準の高さは、世界的にも評価されています。ただ、すでに述べたように、多くの仕事が機械で代替できる時代になると、それだけでは難しくなると考えます。その時代に求められるクリエイティビティとは、働きアリの働き方をデザインできる能力ではないでしょうか。そして、未来の働きアリは、そもそも人ではなく、機械であるのかもしれません。

 

今後、その流れに対応する動きも出てくるかもしれませんが、今のところ、公教育にクリエイティビティを伸ばすカリキュラムを期待するのは難しい気がします。それに、素晴らしい教育改革が実現したところで、公教育を卒業している、私や多くの読者には関係のない話です。要するに、未来の働き方に対応できる人間になるためにも、自分の意思で自分の人生を変えていくしかないわけです。そして、そのためには、〝兵隊思考〟から脱却しないといけません。

 

ポイントは二つあります。それが、「仕事をすること」と「楽しくやること」です。

 

ここで言う「仕事」とは、自分にしかできないことや、自分がやるべきことです。私が尊敬する経営者のYさんは、よく「仕事と作業は違うよ」と言っています。普段、給料をもらいながらやっている仕事が、本当に「仕事」なのか、それとも、単なる「作業」なのか。この二つは、外注できるか、できないかで、簡単に判定できます。基本的には、外注か自動化で対処可能なものは「作業」と考えてOKです。

 

私も、自社のスタッフには「自分じゃなくていいと思う作業は、どんどん外注していい」と伝えています。本当に自分がやるべきことに時間を使ってほしいのです。

 

そして、次に大事なのが、「楽しさ」です。自分が「作業」ではなく、「仕事」に集中できる立場だったとしても、楽しいと思えないことは、正直言って続きません。できるだけ、楽しくやれるものを見つけましょう。

 

また、楽しくやれることを探すだけじゃなく、マインドセットを変えることも意識してください。たとえば会社でやっている「仕事」が、実質的には「作業」であったとしても、上司に「もっと自分にしかできない仕事をください」と言うのは、立場的に難しかったりしますよね。そんなときは、今やっている「作業」をより楽しみ、質を上げられる取り組み方を考え、実践してみるのです。また、そうやって結果を出せば、社内で「仕事」が回ってくる立場になれるかもしれません。

 

兵隊思考を捨てる
兵隊思考を捨てる

副業で、自分にしかできない「仕事」に挑戦する

みなさんは起業家として成功できる人間です。「そんな人材が社内で活躍できないはずがない!」と自分に言い聞かせ、本業もレベルアップに必要な場だと思うと、気合が入るのではないでしょうか。

 

ただ、そんなポジティブな取り組みも難しい会社も正直ありますよね。そんな会社で働いている方にこそ、副業にチャレンジしてほしいです。お金を稼ぐために、副業としてアルバイトをされている方もいると思いますが、副業で「作業」をするのではなく、自分にしかできない「仕事」に挑戦するのです。

 

ただし、ここでも楽しさは大切です。「仕事」なら、何でも楽しくできるかと言うと、実はそうではありません。特に、小さく始めれば両立は可能ですが、働きながら副業をするのは、それなりに負担もあります。そこで楽しめない「仕事」を選んでしまうと、続けられずに潰れてしまうかもしれません。気をつけましょう。

 

本業も副業も、できるだけ「作業」ではなく、「仕事」をすること。そして、楽しむこと。この二つを、ぜひ意識してみてください。

 

【CULUM】20年後の世界

 

私にとって、お金以上に大事だと思っているのは、時間です。たとえば20年間こつこつ貯金し3000万円貯めることは重要ですが、その20年後の世界で、そのお金が3000万円の価値を持っているかどうかは誰にもわかりません。漫画『インベスターZ』や、ドラマ『ビッグマネー』などを見ていると理解できると思いますが、お金は信用で成り立っているのです。

 

なので、その信用が崩れた世界になると1万円が1円の価値にしかならなかったり、逆に1万円が100万円の価値になったりすることもありえます(デフレ・インフレ)。バブル時代を生き抜いてきた人の話を聞くと、何も持たないで六本木の街に出ただけで30万円もらって帰っていた、というような時代もあったようなので、そういうことを考えると、現在の100万円が20年後に100万円の価値を持っているかどうか、わかりません。

 

なので、貯金だけをするのではなく、他のものに投資をして、少しずつでもお金を膨らますイメージを持ち、使っていくのがよいのではないでしょうか。

 

株式会社GEAR 代表取締役

有薗 隼人

 

働きながら小さく始めて大きく稼ぐ 0円起業

働きながら小さく始めて大きく稼ぐ 0円起業

有薗 隼人

クロスメディア・パブリッシング

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