含み損のある不動産などを所有している場合、それを「分離」することで株価引き下げを実施できます。そのポイントを見ていきましょう。

含み損のある不動産をまずは洗い出す

本業は好調なのに、バブル期に投資した不動産がなかなか処分できず、含み損を抱えたままになっている場合、会社の好調な事業から不良な部分を切り離してしまい、「評価差額に対する法人税等相当額(42%)の控除」を活用して、資産圧縮することで株価引き下げを導き出すようにします。
 
まず、基本的なやり方としては、不動産を含み益のある不動産と含み損のある不動産に分け、後者は外部に売却するなどして、会社全体から切り離してしまいます。そして、含み益の部分に評価差額に対する法人税等相当額(42%)の控除の制度を活用し、株価を引き下げていきます。

 

 

 
含み損を分離せずにそのままにしておいた場合は、含み益と相殺してしまい控除が使えなくなるので、結果的に、株価の引き下げ効果も期待できなくなります。

1株当たりの純資産を算出する計算式とは?

下記は評価差額に対する法人税相当額(42%)の控除を活用した、1株当たりの純資産価額を算出する計算式です。
 
帳簿価額による総資産・・・・・・30億円
資産の含み益・・・・・・10億円
負債・・・・・・20億円(相続税評価額も同額)
発行済株式数・・・・・・20万株

 

①相続税評価額による純資産価額
30億円+10億円-20億円=20億円

 

②帳簿価額による純資産価額
30億円-20億円=10億円

③評価差額に対する法人税相当額


(20億円-10億円)×42%=4億2000万円

④1株当たりの純資産価額
(①-③)/20万株=(20億円-4億2000万円)/20万株=7900円
 
「評価差額に対する法人税等相当額」とは、相続税評価額による総資産価額から負債金額を差し引いた純資産価額と、帳簿価額による純資産価額の差額である「評価差額」に42%を掛けて算出した額になります。

 

 

本連載は、2012年12月19日刊行の書籍『オーナー社長のための税金ゼロの事業承継』から抜粋したものです。2015年1月1日施行の税制改正は反映されておりませんので、ご留意ください。

オーナー社長のための 税金ゼロの事業承継

オーナー社長のための 税金ゼロの事業承継

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

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