雇用者数は予想を上回る伸び
過去分も上方修正
■2019年11月の米非農業部門雇用者数は前月比26.6万人増となり、市場予想の同18.0万人増を大幅に上回りました。前月の自動車関連のストライキの反動増(約4万人)という一時的要因がありましたが、その影響を除いても堅調な結果であったと言えます。
■また、過去分も9、10月分にそれぞれ1.3万人増、1.8万人増の上方修正が入りました。雇用の伸びは今年半ばに減速したものの、11月分では3カ月移動平均が20.5万人、6カ月平均では19.6万人と雇用情勢は足元で加速しています。
賃金の伸びはやや鈍化
失業率は約50年ぶり低水準を維持
■11月の賃金は前年同月比3.1%増となりました。10月分が同3.2%増に上方修正されて前月から鈍化したものの、+3%台前半での緩やかな伸びが続いています。
■失業率は3.5%となりました。前月の3.6%から改善しました。
企業業績改善を通じ株式市場をサポート
■堅調な雇用統計が好感されて、6日の米国市場では株価、長期金利が上昇(債券価格は低下)しました。また、統計発表直後にはドル円レートで円安が進む場面がありました。米国経済の力強さが確認されたことで、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待は後退したものの、政策金利は当面据え置かれ、低金利環境は維持されるとみられます。また、米経済の力強さが再確認できたことは、企業業績にとって前向きな材料と考えられます。企業業績は次第に回復傾向が強まると期待され、米国株式市場は堅調な推移となるとみられます。また、日本企業にとっても米国における事業環境の改善に加え、円安の進行が支援材料になると考えられます。
■ただし、短期的には米中貿易協議の行方に注意が必要です。12月15日には米国の対中追加関税「第4弾」が発動予定となっており、期待通り発動が回避されるかどうか注目されます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『良好な米雇用統計は日本株にも好材料』を参照)。
(2019年12月9日)
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