2019年の9月から10月は、大規模な台風や記録的豪雨など、立て続けに厳しい自然災害に見舞われました。地球温暖化による異常気象が心配されるなか、屋外の設備を有する太陽光発電のオーナーは、将来起こり得る自然災害にどう備えるべきでしょうか。本記事は、多くの太陽光発電の設置・運営に携わり、クリーンエネルギー業界に精通する筆者が、これからの太陽光発電運営の注意点を解説します。

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風や地盤の影響だけでなく、施工不備の問題もある

2019年9月には台風15号による千葉県を中心とした風害、そして10月には台風19号による長野県、埼玉県、宮城県を中心とした水害と、いずれも過去に例のない規模の自然災害に見舞われた。

 

太陽光をエネルギーに変える太陽光発電は、当たり前ではあるが、屋外に設置されている。そしてそれは、上記のような自然災害に晒されることも意味している。

 

買い取り制度開始以降、太陽光発電は郊外の田畑、工場の屋根、山の上などへ大量に設置されてきた。今回のような災害を想定できたかどうかは別として、同じような地域に設置されても、倒壊してしまった設備、影響がなかった設備が存在する。

 

同一地域でも、風の向きや抜け方、雨の降り方、地盤の強弱などの影響はあるものの、人の手で作っているからにはやはり、施工不備などがあったのではと思われる部分もある。買い取り制度開始時期には明確なガイドラインもなかったため、単管施工や、明らかな強度不足の設備も見受けられたものである。

 

筆者はこれまで多くの太陽光の施工を見てきたが、施工業者、架台などの仕様によって、かなり強度には差が出るものと実感している。施工業者にとっては、施工期間の短縮や割安な材料の使用が収益に直結するが、同時に、設備の「災害への耐性」にも直結する。

 

もちろん、今回の台風でもほとんどの太陽光設備は問題なく稼動し続けている。それは多くの施工業者が災害への認識を持ち、プロの仕事をしてきた証明であろう。

 

しかしながら、一部施工業者の瑕疵や、経年劣化による強度低下の影響は避けられないと思われる。今後、このような強力な台風、地震などは恒常化する可能性もあり、太陽光設備の強度も見直す必要があるかもしれない。

 

これから施工を迎える設備は、今回の台風15号の風力(千葉市、57.5m/s)、台風19号の雨量(箱根1001ミリ)を想定した施工をしていただきたいし、稼動ずみの設備に関しても、どのような被害があったのか、次にまた同様の災害に見舞われたときにどうするべきかを検討する機会にしていただきたい。ハザードマップの確認、フェンスの強化、施工、販売会社との連絡確認など、できることは多い。

オーナーは投資家としての矜持を持ってメンテナンスを

今回の一連の台風で、筆者の周りでも実際に被害が報告されている。多くはパネルの破損、飛散、架台の屈折、地盤沈下、停電などであるが、パワコンの冠水なども見受けられた。

 

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飛来物、電柱の倒壊、停電など避けようもない事情もあるが、パネルや架台金具のボルト締め確認、倒壊しそうな木の事前伐採、パワコン設置箇所を上にしておくなど、事前に対応できたこともあるだろう。

 

台風15号のあとすぐ、筆者も千葉の現場に向かったが、周辺は倒木や壊れた看板だらけで、高速道路は封鎖され、コンビニや周辺住宅は停電で真っ暗という状況であった。交差点では車がお互いに道を譲り合い、現場への到着には数時間を要した。

 

本来、太陽光発電はエコエネルギー、電力不足対策、地域貢献、雇用促進、国際社会へのアピールなど良い面が多く、円建て、利回り、FIT法などの投資家から見ても優秀な商品であると考えている。

 

業者は今後、台風15号・19号、あるいはそれ以上の災害も想定した施工を求められ、現在稼動済みの設備については、オーナー自身で収益を守り、投資家としての矜持を持って運営をしていただきたいと考えている。自身の設備のみならず、市街地の太陽光設備などは、パネルなどが飛べばだれかを怪我させてしまうかもしれないと想像し、日々の管理を心がけていただきたいと思う。

 

また、いままでなおざりになっていたメンテナンスも、専門として注力している会社が多くなっているので、そういった企業の力を借りていくことも、安定的な運営のための一つの選択肢となるのではないだろうか。

 

 

株式会社幻冬舎総合財産コンサルティング

難波 透

 

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