富裕層の誰もが憧れる「ビジネスジェット」。大企業のオーナーを始め、世界各国の資産家に親しまれていますが、まだまだ日本では、ビジネスジェットの魅力が十分に伝わっていない現状があります。そこで本連載では、日本ビジネスジェット業界のリーディングカンパニーとして市場を開拓し続け、「HondaJet Japan」の運営を担う丸紅エアロスペース株式会社が、「HondaJet(ホンダジェット)」の魅力を紹介していきます。第1回は、そもそもビジネスジェットとは、一体誰が、どのような目的で用いているのかを解説します。

ビジネスジェットは「誰が」「何のために」使うのか

HondaJet
HondaJet

 

ビジネスジェットと聞いても、なんだか遠い存在に感じてしまう人が多いかもしれません。そこで本連載では、世界を代表するビジネスジェット「HondaJet Japan」の運営を担う丸紅エアロスペース株式会社・第三営業本部航空機ビジネスユニットが、ビジネスジェットの魅力を紹介していきます。

 

「誰が」「何のために」使っているのか、概要を解説する前に、まず「ビジネスジェット」について簡単に説明します。

 

そもそもビジネス航空とは、言葉の通り「ビジネス遂行上の目的で航空機 (飛行機及び回転翼航空機) を使用して行う貨客の輸送」のことを指します(一般社団法人日本ビジネス航空協会ホームページより)。そして、そのビジネス航空の中心を成すのが「ビジネスジェット」です。

 

しかし、ビジネスジェットと一言で表しても、使用用途によって「自家用ジェット」「プライベートジェット」「コーポレートジェット」と呼び方が変化します。それぞれ、具体的には何が違うのでしょうか。下記に説明していきます。

 

まず、「自家用ジェット」や「プライベートジェット」は、主に富裕層の方が個人的な移動をする際に使われます。時間の節約のために用いられることはもちろんですが、それ以外にも、定期便が就航していない地域へ旅行に行ったり、ペットと共にフライトの時を過ごせたりすることに定評があります。

 

また、一般ターミナルを通らないセキュリティの高さも評価されています。人目を気にするアーティストや有名人が、空港で一般の方と異なる導線で移動できるのも、ビジネスジェットが好まれる所以です。

 

そのほか、たとえばスポーツの世界で「団体競技のチームが飛行機をチャーター」といったニュースが取り上げられることがあります。団体競技の場合は、控え選手やスタッフを含めると、かなりの大所帯で移動することになります。そのため、座席が多い、一般的なエアライン仕様の機体をチャーターすることが多いのです。

 

一方、HondaJet(ホンダジェット)をはじめとしたプライベートジェットは、少人数のお客様の搭乗を想定して設計されているため、テニスやゴルフといった個人競技の選手に親しまれています。移動によって疲労することを防いだり、体調を整えたりするために使用されることが少なくありません。

 

もちろん、団体のお客様がプライベートジェットを使うことも可能です。たとえば、最大で19人乗れるGulfstream(ガルフストリーム)。サッカーチームの選手が、一同に搭乗したこともありました。

 

そして最後の「コーポレートジェット」。企業が社有機として保有し、経営者による利用が想定されるとき、このような呼び方をします。ではなぜ、会社がジェット機を購入するのでしょうか?

「コーポレートジェット」を持つ企業の強みとは?

コーポレートジェットを持つ企業は、一体何に秀でているのか。それは、「他社よりも時間を圧倒的に有効活用できる」、そして「クライアントに最上の驚きを与えられる」という点にあります。

 

最初に実務的な話をすると、コーポレートジェットの購入によって、たとえ遠い距離であったとしても、1日で複数社の営業回りをすることができるようになります。また、今にも決まりそうな商談中に、帰りの便を気にする必要もなくなります。言ってしまえば、商談に前向きな相手を乗せてそのまま自社に連れて帰り、より契約を詰めたり、自社製品や施設を見せたりして、とどめを刺すことだって可能です。競合が多い業種に携わっている事業者にとっては、圧倒的な強みになりえます。

 

また、事業の根幹を担う工場で緊急事態が発生した場合、特定の技術を有するエンジニアが工場にひとっ飛びして、迅速なダメージコントロールにあたることもできます。

 

上記はミクロな効果ではありますが、このような時短が、事業の効率化に大きく貢献することは間違いありません。一方、マクロな視点では何が見えてくるか。ビジネスジェットの利用者は企業オーナーの方が多いですから、次は経営者の視点で説明していきます。

 

当然ではありますが、大企業であればあるほど、経営陣が平社員の顔を見ることは難しくなります。日本全国に展開している会社や、海外進出もしているような企業となれば、経営陣が顔を合わせる従業員など、ほんの一握りです。

 

以上の企業形態において、トップの声を明確に響かせることは困難であり、「伝言ゲーム」状態で伝わる指示・指令は、必ず齟齬をもたらします。経営状況の改善・向上のためには、経営者自らが拠点に足を運ぶことが必要不可欠です。

 

このようなときに、コーポレートジェットの真価が発揮されます。

 

経営陣自らが拠点を回れば、現場を肌で感じることができ、会社の方針を迅速に隅々まで行き届かせることが可能になります。もちろん、トップダウンの効果だけではありません。経営者の顔を直に見て、生の声を聞くことは、従業員の士気向上を促します。

 

実際、経営陣が現場に足を運ぶこと自体は、多くの企業で実践されていることではあります。しかし、いかに新幹線と定期便が発達した日本でも、本社からの移動では、一度主要都市や空港を経由して別の拠点へ向かう必要があります。

 

コーポレートジェットさえあれば、新幹線の路線や定期便の就航路に左右されないため、本来は数日かかる拠点周遊を、日帰りで済ませることも可能です。

経営者だけが知っている「対面商談」の重要性

コーポレートジェットの利点はこれだけではありません。複数箇所の周遊、という点での利便性は、客先回りでも発揮されます。

 

電話会議やビデオ会議のインフラが発達した現代。バーチャルリアリティ(VR)の実用化が現実味を帯び、SF小説のような世界が近くにまで迫っています。

 

その一方で、昨今際立ってきたのが「対面」の重要性です。トップ外交・トップセールスの場面において「直接対話する文化」は根強いものがあります。特に本記事をお読みの皆様は、「顔を合わせて、膝を突き合わせて」話す商談の重要性を、誰よりも理解していることでしょう。

 

コーポレートジェットであれば、移動が難しい地域でも赴けることに加え、クライアント側には「わざわざ社有機で来てくれた」という好印象を与えられます。

 

VRで完全なFace to Faceと錯覚できる域に発達するのは先のことですし、もし本当に「VR時代」が到達したその際は、トップがビジネスジェットに乗って商談相手先まで足を運ぶ自体が、競合他社と差別化を図る一助となるのではないでしょうか。

 

そう考えると、ビジネスジェットが経営者の「足」でなくなることは考えにくいでしょう。直接赴いた営業活動は、今後より一層、影響力を強めていくと考えられます。

 

◆「足で稼ぐ営業」から「翼で稼ぐ営業」へ

 

もっとも、今までの日本では「社有機を持つような会社は贅沢」といった印象があったかもしれません。しかしこの考えは時代遅れです。

 

海外のグローバル企業の経営者が、コーポレートジェットで訪日するのは普通のことです。それを見て「贅沢だ」と感じるか、「さすが外資系」と思うか。企業の成長を左右するポイントです。「ウチも持たないと、世界では勝負できない」と考える企業は、間違いなく増えています。

 

これからの日本の企業には、「社有機で営業に来るような先進的な会社と取引をすれば、自社も同じような成長ができるかもしれない」といった考えを持ち、競合他社や取引先にも良い影響を与えて欲しいと強く願います。

 

 

会議電話やビデオ電話のシステムに投資するのは、時間を買うためのはずです。社有機も同様です。「足で稼ぐ営業」から「翼で稼ぐ営業」の時代は、もう来ています。

 

 

丸紅エアロスペース株式会社

第三営業本部 航空機ビジネスユニット

 

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