S&P500は再び3,000ポイントへ
決算動向の見極めが必要
■米国株式市場は、10月21日にS&P500 種指数が3,006.72ポイントと、本年7月中旬以来の3,000ポイント台乗せとなりました。好調な滑り出しとなった7-9月期の決算発表や英国の合意なき欧州連合(EU)からの離脱が回避される見通しとなったことなどが背景です。
PER17倍の壁にぶつかる
やや上値が重くなりつつある
■株式市場は上値がやや重くなる可能性があります。今年のS&P500種指数と1株当たり予想株価収益率(PER)(12カ月先予想)の関係を確認すると、3,000ポイント前後は予想PERで概ね17倍程度で、この水準を上回ることがなかなかできません。予想PERの17倍台が壁となった局面として2015~2016年が指摘できます。17倍を上抜けしたのは2017年以降でした。
■株価とEPSの成長率を見ると、株価は約半年程度、業績に先行してボトムを形成しています。2016年は1-3月期が利益成長のボトムとなり、2017年以降の利益拡大とともに株式市場は大幅な上昇となりました。2019年は7-9月期が業績のボトムとなる見通しで、株式市場はその後の利益回復を視野に入れ上昇していますが、株価が持続的に上昇するためにはさらなる利益成長が期待できるかが重要です。
景況感の改善と増益期待の高まりがカギ
■大きな懸念材料である米中貿易交渉は、完全合意は難しいにせよ、部分合意に目途が立ちつつあります。これまでの追加関税の影響から、もうしばらく景況感の悪化が続くと懸念されますが、年末近傍からはその悪影響が徐々に消え、景気回復の可能性が高まると期待されます。景況感の改善が見え始めれば、業績に対する増益期待も高まると思われ、米国株式市場はPER17倍の壁を超えると考えられます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国株式市場~PER17倍の壁を超えるための条件』を参照)。
(2019年10月23日)
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