自社株式の株価上昇は、基本的に事業承継のハードルを高くしてしまいます。今回はその理由を改めて考えてみましょう。

贈与、相続、譲渡に伴う莫大な費用負担が発生

株価の上昇で事業承継がスムーズにいかなくなるのは、次のような理由からです。
 
まずは、自社株式を後継者に移譲する際の贈与税、相続税、譲渡所得税などの税金が高額になります。

 

また、事業承継に際して、分散した株式を集めようとしたとき、株価が高ければ、買い取り費用が高額になります。資金が潤沢にあれば問題ないでしょうが、そんな会社ばかりではありません。そんなときに、さらなる株価上昇を期待してほかの株主が手離したがらなくなるとどうでしょうか。後継者は自分の会社の株を集めるための資金調達に奔走する。これでは、いいスタートが切れるはずもありません。
 
このため事業承継では、株価の引き下げだけでなく、株価の高騰に伴う納税費用や買い取り資金等の調達についても、承継時期などを踏まえながら、計画的に準備を進めておく必要があるのです。

承継の方法によって課税される人も異なる

自社株式の事業承継にかかる税金は、承継の方法によって、税金の種類や課税される人が異なります。
 
(1)相続による承継:相続税→後継者に課税
(2)生前贈与による承継:贈与税→後継者に課税
(3)売買による承継:所得税→現オーナーに課税
 
また、株式以外に不動産等のある承継には登録免許税や不動産取得税、M&Aのうち事業譲渡での承継には法人税や法人住民税、消費税が必要になることがあります。次回は(1)~(3)の課税ケースを順番に見ていきましょう。

 

 

本連載は、2012年12月19日刊行の書籍『オーナー社長のための税金ゼロの事業承継』から抜粋したものです。2015年1月1日施行の税制改正は反映されておりませんので、ご留意ください。

オーナー社長のための 税金ゼロの事業承継

オーナー社長のための 税金ゼロの事業承継

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

事業承継の成功は自社株式を制することにあり ムダな税金を払わずに後継者に事業を譲り渡す。その秘訣は自社の株価を極限まで引き下げることにあった。「一年分のオフィス賃料は一気に払う」「高収益部門を分社化して本体の利…

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